何回も、あの手この手で巻き返したい

こうなるだろうと予想したことがくつがえるどんでん返しは、読み手の興味を引くため、面白い。

気になったのは、名探偵ハウスズに変装する怪盗ルブレッドが警官一人に視線を向けて、「あなた一人だけどこかホッとしたような表情を見せたのを、私は見逃さなかった」と語ったところ。
そんな描写はなかった。
描写がないのは、ルブレッドのハッタリだからだろう。
警部はあっさりと信じてしまっている。
警部は名探偵を信頼しているからだろう。

ともかく、本物として招き入れてしまったのは、警部の失態。
宝石を盗まれずに済んだのだから、お咎めはなかったに違いない。