第4話からかってくる母と姉には付き合いきれない

「つぅちゃん、はーちゃんとケンカでもしたの?楽しみにしてたのにぃ〜もうぅっ!」

そろそろその呼び方をやめてほしい……切実に。

はーちゃんとは、田辺陽美のことだ。

ソファで寝転がる俺の頭上から母親が訊いてから、声を荒らげる。

「喧嘩なんてしてないって。俺は楽しくないんだけど……てか、腹減ったんだけどまだ?」

「面白いじゃない、はーちゃんっ!近々進展させようって思ってんじゃないの?あの娘みたいにさ」

「そんなんじゃないから。てか、その話やめてッ!母さん、早く」

はいはぁ〜い、と受け流しながらキッチンへと戻る母親。

田辺はそんな関係に至る女子やつなんかじゃない。

誤解する母親にゲンナリする。

沙耶華とも母親が想像することなんかしちゃいない。

あんな責任なんか負えないっての……ったく。


「ただいまぁ。克貴ぃー、今日って彼女来てないんだ」

リビングに入ると同時に姉までもが余計なことを吐いた。

「かえりぃ〜ってか、彼女じゃねぇってッ!」

「そんな照れんなってぇ〜克貴ぃ〜よぉ。バツイチなんだし、イけるってぇ〜克貴ぃ〜!」

「バツイチ言うなッッ!未婚だっつぅのッッ、俺はッッ!そういう姉貴はどうなんだよ?」

からかい返す俺。

「居ないから、こんな早く帰ってきてるんだよ。ほんと、ませた弟だこと……はぁー」

拗ねた表情で返しながら、ため息を漏らす姉。


母親と姉の三人で食卓を囲んで、夕飯を摂る柳葉家。

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