家庭教師開始

 大事な小人たちの意見を聞き逃す空。

 しかし、空は今ウキウキで溢れ返っている

 のでありました。

 

 

 ウキウキの翌日

 

「おー、空。昨日穂乃果から聞いたぞ」

「えっ⁈手首掴んじゃった事⁈」

「はい?空…穂乃果の手首掴んだの⁇」

「うん。聞いてない?」

「おぉ…家庭教師の話なら…」

「あー、そっちか!そうなんだよ。つい流れ

 で家庭教師をね」

 

 …流れじゃない。本当は、ヤル気満々なオ

 レ。

 

「わりぃな。家庭教師なんて」

「あぁ、いいんだよ。どうせ暇だし」

「助かるよー。塾入れなきゃって親が言って

 たんだけど、空なら安心して任せられる」

「マジか!信頼してくれてサンキュー」

「うん。じゃ空が都合の良い日からでいいか

 ら」

「おう!なら今日から大丈夫っすよ。お兄ち

 ゃん」

「いや…お兄ちゃんは、やめろよ。ってか今

 日からいいの?マジ助かる。受験は、ほん

 と大変だもんな。ありがとう」

 

 感謝された。

 …オレ妹狙ってんのに。

 

 そして放課後

 一緒に修と家に向かった。

 急に今日からとかきっとびっくりするだろ

 うな…

 

 なんて思いながらおじゃますると…

 

 玄関にウェルカムの横断幕⁉︎

 おー…オレ歓迎されてんじゃん。

 

 お母さんにご挨拶していざ穂乃果ちゃんの

 部屋へ。

 

「失礼します」

「先生、よろしくお願いします」

 ぺこり

 せ、先生って…

「いやー、照れるよ。先生なんて。空でいい

 よ」

「えっ、呼び捨て…?彼氏みたい。無理無理

 の無理無理です」

「あー、だよね…ごめん」

「いえいえ、では、空先生で。」

「あー…うん。ならそれで。オレは、穂乃果

 ちゃんって呼んでいい?」

「はい!」

 

 とりあえずお互い呼び名が決まった。

 

 まずは、数学が苦手だって修が言っていた

 から数学からにしようと思う。

 

「じゃあ、今日は数学でいい?」

「えっ、数学ですか?わたしが一番苦手な科

 目…なんです」

「うん。修から聞いてる。だから最初に難し

 いものから挑戦って思ったんだけど、嫌な

 ら他の科目でもいいよ」

「いえ、空先生のおっしゃる通りです。わた

 し、空先生のために頑張ります‼︎」

「あ、オレの為ってか未来の穂乃果ちゃんの

 ためね!」

「あー…はい!頑張ります‼︎」

 

 びっくりした。

 いきなりオレの為って…。

 一番最初の生徒になってって言ったから、

 気使ってくれてるのかな…。

 

「じゃまずこれ、解いてみる?」

「うーん…です。」

「わからない?」

「はい。こじれた赤い糸くらい難しいです」

 あー、それは、相当わからないって事か。

 

「なら、初めから教えるね」

「えっ、数字ができた由来からさかのぼりま

 す?」

「そこまでは、さかのぼらないから大丈夫」

「あー、よかったです。」

 うん。

 オレもよかった。

 そこからさかのぼると大変な事になる。

 

 そして説明開始

 

「なるほどです。空先生さすがです」

「あ、ありがとう。じゃあ次ね」

「次…ですか?」

「うん。疲れた?」

「いえ、次はどんな問題が来るのかまだ心の

 準備が」

 そんなにか…⁉︎

 

「大丈夫だよ。同じような問題だから」

「あ、ならよかったです。そっとしました」

 そっと?

 ほっとの間違えじゃ…

 これって突っ込むべきだろか?

 それとも言わないべき?

 わからない…

 とりあえずほっと…いや、そっとしておこ

 う。

 

 そして次の問題は、正解

「すごいじゃん。当たり!」

「えっ、当たりつきの問題だったんですか?

 景品とか出るんですか?」

 

 …その当たりじゃなかったつもりだったけ

 ど、喜んでるしなんかあげた方がモチベー

 ション上がるのかな…?

 

「えと、なんか欲しいものとかあるの?」

「えっ、ほんとにくださるのですか?」

 …何を要求されるのだろう。

 とりあえず聞いてみた。

「何欲しいの?」

「あの、空先生の…」

 えっ…オレのなんだろう。

 ドキドキ。

 っておもってたら、

「空先生のその消しかすください」

 なんて言われた…

 

「えっ、消しかす⁉︎」

「はい!それネリネリしたいです」

 あー…

 

「うん。じゃあ、どうぞ…」

 わーいって言いながらかわいいケースに消

 しかすを楽しそうに入れる穂乃果ちゃん…

 

 いいのか。

 そんなんで…

 

 変わったコだけど、やっぱかわいいな。

 一緒にいて飽きない。

 

 続く。

 

 

 

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