第7話 告白

「タケル一緒に帰ろうぜ」


 友達の三浦と帰ろうとしてたら、隣りのクラスの女子に僕は呼ばれた。


「成瀬君」


 その子は廊下を指さし一緒に来てほしいとジェスチャーする。

(なんだろ?)

 あまり親しくない女子だ。

 顔は整っていて目はクリクリして大きく、赤縁眼鏡をかけている。


 同じクラスになった事もないし部活も違う。

 名前は何て言ったっけ?


「三浦ちょっと待ってて」


 一緒に帰る約束の三浦に断りを入れておく。


「りょうか〜い」


 三浦はニコッと返事をした。


 僕はこの子に呼ばれる事に思い当たる節がない。


 廊下に出てすぐに顔を真っ赤にしながらその子は言った。


「あっ、あの! 好きです! 付き合って下さい!」


 突然の告白に僕は唖然として何も返事が出来ない。


「私、沢渡環さわたりたまきです。一年の時に同じ委員会でした。好きです」


 僕はどう返せばいいんだ?

 すまない、僕には好きな人がいる。


 気づけば廊下には沢山のギャラリーがこちらを見てた。

 この子に恥をかかせては申し訳ない。

 どうしたもんか?


 僕なんかを思ってくれるなんて変わった子だな。

 うーん。

 とにかくこんなとこじゃなんだ。

 周りの奴の目が気になる。

 今日は委員会活動がないから委員室なら空いてるかな?


「ねえ。とにかくここじゃなんだし、場所を移動しよう?」


 僕の言葉で初めて周りの状況が分かったらしくて、沢渡環はますます顔を赤らめた。

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