第12話 スキルの確認…

 「それにしても…増えたな?」

 「私でも解らない調味料があるよ!」


 僕は雑貨屋で買った小瓶に覚えた調味料を詰めていった。

 それらを眺めているのだが…明らかに調味料なのかと思える物が幾つかある。


 まず、みりんと料理酒だが、この世界には米が無い…訳では無いとは思うけど、米で作った酒はまずないのでみりんや料理酒は作れない。

 そして醤油と味噌だが、豆の発酵を試した事が無いし、試した者もいないと思うのでこれも存在しない。

 そもそも、調味料を2つ以上混ぜ合わせるとしたら、調味料と香辛料が主で…中には試した事もある料理人が居るかも知れないが、本や資料に記述は無い。

 そして意外かもしれないが…この世界にはソースやケチャップ、小麦粉や片栗粉などは存在する。

 小麦粉に関しては、パンであるからね。


 「そして、砂糖と胡椒だけど…この量はヤバいな!」

 「砂糖は凄く白いし、胡椒は上質な物だと思う。」

 

 これを売りに出せれば、恐らく市場がひっくり返るだろう。

 そうすれば、冒険者活動をせずに安定した収入が入って来るだろう。

 人間…楽して稼げるに越した事は無い。


 「そして良く解らないのがこの3つ…その内の1つはクリームだと思ったら、滑らかな感じだったけど酸っぱかった。」

 「調味料鑑定によると、これはマヨネーズといって…卵と酢と油を混ぜた物だって。」

 「マヨネーズ…野菜を食べる時とかに良さそうだね。」

 「そして解らないのが、この重曹とコンソメという物だ。」

 「調味料鑑定では何て出ているの?」

 「えっと…? コンソメは、シチューではないスープ料理を簡単に作れる物と書いてある。 野菜と肉を入れて煮込むと良いって…」

 「なら、この重曹って?」

 「肉料理の肉を柔らかくしたり、魚料理の臭みや滑りを取り、食材によっては膨らませられる効果があるって…」

 

 リットは重曹を眺めて言った。


 「これは…今度使ってみる事にするね! あと、この黒い液体と…茶色い物は?」

 「黒いのは醤油で、茶色いのは味噌だって。 黒いのは塩の代わりに使える調味料で、味噌は…煮込み料理に適した物だって鑑定に書いてあった。」

 

 リットから聞かれた事を調味料鑑定で調べた物をそのまま伝えた。

 リットは、調味料の味見をしながらノートに何か書き込んでいた。


 「世界には色々な調味料があるんだね?」

 「みたいだね、僕達はこの島から出た事ないけど…世界にはまだまだ見た事ない物があるんだろう…」


 僕はもう一度、調味料が入っている瓶を眺めていた。

 物によっては戦闘に使える物もあるのかもしれないが…マヨネーズという調味料は戦闘で使えるのだろうか?

 

 「じゃあ、、私はこのコンソメ?っていうのを使って料理を作るね!」

 「楽しみにしているよ! 僕は他のスキルを確認するから…」


 ギルドカードでスキル確認をしていて解った事がある。

 それは、奇数のレベルで調味料を…偶数のレベルでスキルを覚えるみたいだ。

 そして、レベル10・20・30という感じで、特殊スキル…みたいな物を覚えるという。

 ただ…このエクストラ調味料の水って…?

 水も調味料なのかな?


 色々試して解った事は…任意出現というスキルは、体や持っている武器の場所から出るという物だった。

 なので、剣先から放つ事も可能なのである。

 その他に、食材複製というスキルもあった。

 このスキルは、左手に持った食材と同じ物を右手から出すという物だった。

 ただ、その際に…その出量によってはMPがかなり消費されるので、使い勝手が難しかった。

 ちなみに銀貨で試してみたが、銀貨が複製される事は無かった。

 あくまでも、食材のみなんだろう。


 「そして何度試してみ使えないスキルがあるけど、何か条件があるのかな?」


 そのスキルが、性質変化と形状変化、濃度上昇と密度上昇だった。

 名前からして何となくは解る。

 ただ、どうやっても出現できないし発動もしなかった。

 そして謎なのが、属性変化と食材召喚である。

 そもそも魔法では無いのに、調味料に属性があるのだろうか?

 あと食材召喚も謎だった。

 肉をイメージしても何も出なかったのだ。

 恐らく調味料に関する何かをイメージしないと出ないのだろう。


 「レア調味料の調味料合成…なんだけど?」


 料理人とかなら、その効果も分かるとは思うんだけど…詳細を読むと、成功すれば新たな調味料が生み出されるけど、失敗すると率は高いと書いてあった。

 魔法の効果とかなら何となく分かるけど、調味料ともなると全てが謎だった。


 「これから追々研究していこう! 次のレベルからは何を覚えるのかな?」

 

 そう考えると楽しみで仕方なかった。

 ここまで調味料だったから、次からは香辛料とか?

 僕はそんな事を予想していたが…後日、それが本当になるとは思わなかった。

 そして香辛料は、更なる戦闘に役立つ調味料となるのだった。

 

 「この良い匂いは…これがコンソメを使った物なのかな?」

 

 僕は匂いにつられて椅子に座ると、料理が来るのが待ち遠しかった。

 そして妹達も席について、出されたコンソメというスープ料理に驚きを隠せない程美味しかった。

 その匂いは家の外にまで流れて行き…道を歩いている通行人の足を止めたらしい。

 だが、僕が調味料の塩を売ろうとして断った者が多かったために、今更分けてくれという事を言ってくる者はいなかった。


 そして、明日の依頼で…形状変化と性質変化の使い方と、魔剣シーズニングの使い方が解ったのだった。

 その続きは、次回をお楽しみに! 

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