第15話 温かい家庭

30歳を迎える頃1人の男性と出会い

付き合って半年が経つ頃

妊娠をした

予定外の事

こんなあたしにも

【家族】

が出来ると思うと嬉しかった


長男を出産したあたしは里帰りという選択などなかった

産まれたばかりの息子を抱き

アパートへ帰り初めての育児をした

付き合って半年思いもよらない妊娠出産

何もわからない育児

子育ての本と 人に聞きながらの育児

夜泣きをする度アパートの外へ行き

泣いている息子と同じように泣きながら

子育てをした

息子の父親になったはずの人は

『泣かすなうるさい』

『俺の人生滅茶苦茶になった』

『誰のお金で生きていける?』

等 毎日言われた

暴力さえなかったもののあたしから

【明るさ】は消えていた

ただ息子に罪はない

あたしの家族


我慢をしながら生活をする日々

長男が4歳になった頃

酒に酔った彼が帰ってきた

私は寝たフリをしていた

狭いアパートだが部屋は2つあった

息子が産まれてから別々に寝る日々

その日は違った

その後次男が出来た

相変わらず会話もない

子供が泣く度怒られる

出ていく場所もない

月日は経ち次男が保育園の卒園式を迎える頃には旦那は家に帰って来なかった

それでも【温かい家庭】をどこかで

作れると信じていたがそれは叶う事なく

子供を2人連れ家を出た

3人で生きていく事に決めた

決めざる得なかった

『もう無駄に金を払いたくない家は解約したから再来月迄には出ていけ』

彼はそう言った。

彼には予定外の妊娠から責任を取らされ人生滅茶苦茶にされたのだからと言われ

後はどうなろうと知らないと言う


子供達のために決断をした

それからは直ぐ行動に移した

全てを0にし

スタートをきるために

県外に住むことにした団地を探した

申し込みから審査まで1ヶ月以上かかると言われたが待つしかなかった

出来ることはした

アパート解約日前日に申し込みは通り

明日からでも住めると連絡をもらったが

お金も無かった

ギリギリの蓄えの中から

2トンのトラックを借りて自分達での

引越しをした

持てるものは2トンに乗るだけの物

先ずは子供のランドセルや学用品

次男が大事にしているぬいぐるみ

子供の荷物でほぼのらない

あたしの物は沢山捨ててきた

でも気持ちは軽かった

団地についてガランとした部屋に

安い布団を2枚敷き3人で寝た

カーテンもない

少しづつ物を揃えていった


【温かい家庭】は作れなかったが

【命より大切な子供達】が居る



幸せな家庭なんてものは

温かい家庭なんてものは

理想でしかないみたいだ


ただ、今言えることは

笑って過ごせる家がある

大切な家族があたしにはある

守るべき家族があたしにはある

だから今日も明日も

上を向いて前を向いて歩く

この先何年生きるかなんてわからない

だからこそ 【今】を精一杯生きる

まみ子の人生はまだ続く


まみ子の一生

今はまだ40年のまみ子の人生













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まみ子の一生 野良猫ロック @noranekonomonogatari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ