第11話 夜の街

中学に戻ったまみ子には誰も何もしてくる事は無かった

ただ空気のような

腫れ物を触るような

そんな中学も3年生になった

中学3年と言う中途半端な時期に

転校生が来た

彼女の名前は マキ

どんな事情かは分からないが

クラスメイトになった

マキは誰とも仲良くなろうとしなかった

転校してきたのに

すぐ学校に来なくなった

そんな事気にすることも無く

いつもと同じ電車に乗り学校のある駅で降りる時に、私はふと

【この駅より先に行けば何があるのか】と気になりそのまま次の駅へ向かった。どんどん景色は変わり田圃や畑が見えた。

2駅ほど進んだあたりで降りてみた

無人駅だった。

そのまま駅を出て制服のままうろついてると『ちょっと』と女の人が声を掛けてきた。

ヤバい逃げなきゃ!制服だしなぁ

心でおもったが振り返った。

女の人は続けて話し出した

『はじめまして、この前引越しして来たマキの母親です。中学生よね?同じクラスなら良いけど』なんて話してくる

通っている中学は高等科と分かるようにネームカラーが違う

あたしは『はい。同じクラスです』と言った。

マキの母親と語るその人は『学校行きたくなかった?制服は目立つからうちに来てマキと遊ぶ?』と聞いてきた

そのままついて行くことに決めた

マキの家は田舎では浮く洋館風の家だった。

『お邪魔します』

マキの母親はマキは二階にいるからと

降りてくるように1階から呼んでいた

パジャマ姿のマキが降りてきてあたしを見た

不思議と同じ匂いがした

マキは少し変わったタイプの子だった

『あ、おはよう。え、友達だっけ?』

そう言われて

『おはよう…友達じゃないけど』

と言うと

『あ、同じクラス?』

『そうみたい』

探り合いの言葉が続く

『あがる?』

『うん』

2階のマキの部屋に行くと、真っ白の壁に赤いペンキで沢山文字や手形があった

『これなに』

あたしが聞くと

『かわいくない?』とマキ

『可愛くはないけど個性的でいいね』

とあたしが言う

『ねえ、学校サボり?』マキは聞く

『うんなんとなく』あたしも答える

1階からマキの母親が私に名前を聞く

『名前なぁに?』

あたしは『まみ子です』

と答えた

数分後

『学校に休む連絡入れといたから沢山遊んで帰ってね』と

そこからマキとあたしは友達になった

マキの母親はスナックを経営していた

夕方になると紫のスーツを着て派手なメイクで出かけていく

昔のあたしの母を思い出した

マキとあたしは毎日一緒に居た

いい時も悪い時も

高校に上がる時マキは母親のスナックで働くといい私は進学をした

だけどそのままずっと仲良く関係は続いていた。

16歳になった頃マキからバイトでスナックに来ないかと誘われた。

祖父母宅からずっと通っていたがその頃は俗に言う反抗期

家に帰らない日もあった

ギリギリ留年しない程度に学校だけは行った。

祖父母を悲しませたくなかった自分がどこかに居たから

土曜日だけスナックにバイトに行くようになった

祖父母には土曜日友達の家に泊まると

心配しないでと

反抗期は母親にだけで相変わらず仲は悪かった。お互い連絡もしない


父はその頃マニラに住んでいた

妹みあ子は、母親にべったりで

母親もみあ子さえ居ればいいと言っていた。

お酒の注ぎ方もわからない16歳の小娘が夜のキラキラした街に溶け込むのは

早かった。

あの頃の飲み屋は身分証も要らなければ

適当に誤魔化せていた。

17歳になってキャバレーにも仕事行くようになった。

キャバレーは色んな国の人が働いていた

今考えたらビザとか大丈夫だったのだろうか…なんて思うようなお店だった


学校が終わればマキと待ち合わせをし

お腹が空けば適当な男の人に声を掛け

ご飯を奢ってもらう

時に危ない事もあるからいつもあたし達はニコイチだった。2人のルールは

【車には乗らない】【売りはしない】

【薬はしない】【パクられない事】

それ以外はなんでもやった


高校もギリギリで卒業出来た

祖父母に心配かけないよう嘘をついて家を出た

水商売で生きていけたから

お腹がすけば食べさせてもらえる

2人だから寝る所が無ければ公園で寝る

友達の家に泊まる。夜の街は同じような仲間がいた。

そのうちお金がたまりアパートを借りた

風呂なしアパート6畳一間

近くに銭湯がある

楽しかった

19歳になった頃マキがいつもと様子が違うようになった事で喧嘩も増え

あたしは出ていくことになる…




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