第4話 朝ごはん

朝ごはんができた頃には父親はまた出かける準備をしていた

それを横目に料理があまり得意でない母は出来上がった物をちゃぶ台に並べているが味はお世辞にも美味しい物ではない

ただ、母親の味で育ったまみ子は出されたものを食べていた

まずは茶色い揚げ物 朝から揚げ物が出るのはこの家はいつもの事

だいたい何日か前の晩御飯の残り

味噌汁みたいな物もある。バラバラな形に切られたジャガイモが入っている

そして白米唯一白米だけは美味しいと思えた

まみ子はいつも『ふりかけ頂戴』と母に言う母は笑って『おかずがあるのにふりかけが本当に好きなのね』と笑う

ふりかけご飯が1番美味しいのである。

父は朝ごはんをチラッと見て着替え終わったのかいつもの様に雪駄を履いてタバコを吸いながら玄関のドアを開け出ていく『いってらっしゃい』なんて言葉はこの家で聞いたことは無い

母はどちらかと言うと垂れ目で目も大きくて可愛らしい感じの女の人だった

髪もふわっと昔で言う(聖子ちゃんカット)細くて小さな母親はまみ子が幼少期はとても今とは違う大人しい女性だったように記憶する

まみ子がふりかけご飯を食べ終わる頃

母も化粧が終わっていた

父の稼ぎがない

母も働いている様子はないのに

何故か生活が出来ていたのは

この後少しづつまみ子は知ることになる



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