第12話「朱に交われば赤くなる」

「カマキリがゴギブリに勝った。すごっ!」


「むかつくっ!!!」


『イテッ!』


「靴下投げんなクソが!」


「おい、くそまろ。夏休みの小学生みたいな動画観てんなら、お前も洗濯物畳め」


「やだよ。ヤダヤダ。難しいもん」


「はあ?洋服畳むより、仕事の方がよっぽど難しいだろうよ?」


「いやっ?仕事なんて、ちょー簡単だが?『アイツ使えねー』『マジ使えねー』『クソほど使えねー』て上に報告すれば終わるもん」


「お前、サイアクな上司じゃん……」


「無能なヤツほどそうやって、文句ばっか垂れるよね」


「こっちからしたら、洗濯物畳めない、お前の方が、よっぽど無能だけどな」


「いつも思ってたけどさ?」


「なに?」


「洋服畳む必要なくね?」


「あるだろ!ちなみに、お前が今寝転がってる布団も干したくて、干したくて、うずうずしてて、発狂しそうなんだが……」


「えー、ワタシあの布団の干した後のニオイ苦手なんだよね~」


「いいから!たため!」


「ヤダッ!ムリッ!」


「じゃぁ、もう畳まない!」


「えっ?だから、畳まなくていいじゃん。干したらその箱にいれときなよ」


「ポイッポイッ」


こうして、僕は、洋服を畳むことを放棄した。「朱に交われば赤くなる」ということわざがあるが、「くそまろに交わればクソになる」僕は一歩くそまろ化が進んでしまった。


たまに、本部に行くときに、朝、焦りながら、一生懸命ワイシャツをアイロンがけをしてる、くそまろを見ると、とても、いい気味で気分爽快なので、洋服畳むの止めて本当に良かったと思う。


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