第20話

「う、そこを言われると耳が痛いわ。

 確かに学校からマナーの注意が入っているモノね。」


ボッチオブボッチはそもそも話す人が居ないので迷惑がかかることは一切ない。


「でも、人と話すことはしておかないと社会に出た時不利になるわよ。」


大丈夫、俺はいざとなったら山で暮らす。


そうこの男は実際山で一月暮らしていたので富士の樹海にでも身を隠そうと思えば隠せるスキルを持っているのだ。

便利な環境を捨ててまで山で暮らしたいと思うのか、ルルの知るところではないが世捨て人に成れるだけのスキルと知識はある。

そしてその強靭な肉体。


「でも読書とかできなくなるわよ。」


「そんなの図書館に行けばいいだけじゃん。

 身体洗ってきちんとした服を拵えれば普通に行けるぜ。」


ラノベは無くとも、基本的な本や新聞は図書館で読めるのでシャバの情報もうち漏らしは無い。


元々山にいた時もコッソリと気配と監視カメラを避けながら市街地の図書館や役所に忍び込み新聞を読んでいたのだ。


行方不明と違い大人になれば届出を出されない限りは、自由にして大丈夫だから身分証明書(本人確認書類)さえ持っていれば後は問題なく生活ができてしまう。


「住民票とかないと身分証明書とか作れないでしょ。」


「高校生なのによく知ってるな。

 一応本籍を実家にしておけば問題なく作れるぞ。」


身分証明書の類が無いと職質されたときに不便であることは確か。

それを知れっとカバーするのが実家である。

親が死んだらもう山に引きこもるしかないけどね。


「私がそんなこと許しません。」


ああ、ここに日本文化に染まってしまっているファンタジー要素が居るよ。

高校生に成っても将来を考えていないからそんなことが言えるんだよ。

確定拠出年金とか、保険保証の付与割合。

将来についていっぱい考えることばかりなのに、そのことに気づいていないから学校でのんきに勉強していい大学に行くことしか考えていないのさ。


「物凄いディスったわね。」


「おっとつい本音が漏れてしまったかな。」


「あなたの本音は全部筒抜けよ。」


つまりは、言えないようなことを考えれば良いだけのことか。


「な、ナニを考えているのよ。」


「ナニ?」


自分のムスコ。

成るほど成るほどこれは良いことを聞いた。

映像として想像すれば、映像として映るというとは。

なら、これとこれ。


「見たくない見たくない。」


「なら読むのやめましょうや。」


尚想像していたのは戦場帰りの風呂場をリアルに思い出していた。

むさ苦しい、熱い、生々しいブツが多すぎ。


「この変態!」


ルルのフルスイング!

空振り三振、バッターアウトゥ!

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