第9話

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「それでいい、この世界には以外にも私たち以外の異世界からの使者多く来ているわ。」


「ふむふむ。」


もふもふ。


「いい?あなたの魔力は勇には及ばないけど他の使者からも注目視されてきた。」


「へいへい。」


もふもふ。


「突然それが消えたのだから、勢力図からの介入を疑われるわよ。」


もふもふ。


「聞いているの?」


「うん聞いてるよ。」


道端に居たノライヌ?をもふもふしております。

可愛いですね。

柴犬くらいの大きさで柴犬よりももふもふな毛並みで可愛いです。


「その子、いつから触っていたのかしら?」


「森を出てからはすぐに寄ってきたけど、知り合い?」


「なんで言わなかったのよ。」


「わふ。」


「うんうん、異世界からの使者だから俺のこと今まで見てたけど、そこのいぬっころに取られるかもしれないから出てきたんだって。」


「そういうことを聞いてるんじゃないの。

 私はいぬっころじゃない!」


うんうん、気持ちはわかるよ。

人狼だものね。

この美しい髪の毛に隠れた耳の毛並みを一撫で。


「ひゃん、セクハラよ。」


「スミマセン、申し訳ございません。

 どうか私目をお許しください。」


キツイ目線でセクハラと言われれば、ジャンピング土下座で二度としない(本気)気弱童貞。

道のど真ん中土下座をすれば注目を集めるのは当然のこと。


「わふわふ。」


犬のつぶらな瞳。

泣き声。

あまえる。

周囲の認識が変わった。


「あら、犬と私どっちが良いって言う痴話喧嘩かしら。」


「ペットも家族よね。」


世間の目は、ペットを捨てられない彼氏と捨ててこいという女子の構図と観た。

世間の目、これに勝る社会的道徳的攻撃は存在しないのだ。


「もうしないならいいわよ。

 それとその子はきちんと森に返して来なさい。」


「わふう。」

犬のつぶらな瞳。

泣き声。

あまえる。


「こんなに可愛いのに?」


「ダメ、私たちとゆくゆくは敵対する可能性があるのよ。」


「そっか。

 オマエこんなにも可愛いのにな。」


「わふわふ。(もふもふ)」


「こ、心が削られる。」


「精神系の魔力は感じないからこの子のそのままの魅力だね。」


可愛い動物を捨てるのは精神を削られる。

可愛ければいいというものではないけど、さっきまで戯れていた力が己が強者だという慢心を生む。


「かわいがっていても隙は一切見せない方が良いよ。

 さっきからこの子、懐いては居るけどなんか監視してるしね。」


「やっぱり、ダメじゃない。」


「まあまあ、監視されてても切らないってことはそれも織り込み済みで遣わしてるんだから、気にするだけ損だよ。」

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