第8話

◇◇◇◇◇◇◇◇


「朝起きたらケモミミコスプレ美少女が俺のベットで寝ていた件。」


これだけで売れそうなタイトルの小説が書けそうだ。

しかし、こんなにもふくらみのある女性と一緒に寝るなんて。


「とりあえず揉んでもいいかな。」


男性の欲望の赴くままに、豊かな双丘に手が伸びる。

と、ここで俺の童貞の精神がそれを止めた。

幾ら筋肉をムキムキにしたところで小心者であることには変りなし。


でも女の子と戯れたいお年頃。

誰もてめえみたいな童貞見ねえよなんて女子に言われた日には1時間は部屋に引きこもる。

そんなピュアピュアハート(チキンハートとも言う)な彼は、ぐっとこらえてそのまま布団をかぶせた。


異世界転生チート使ってなんかするか。

今はムラムラすることを伏せて、他のことをしようと思った。


「今日は早いのね。」


「ちょっくら走りに行ってくる。」


「万年文化部のアンタが走りに行くとか世も末だね。

 朝食までには戻ってきてね。」


「はーい。」


走る!

地の果てまでも


「あ、やべ。

 迷った。」


富士山は見えるので富士の樹海かなにかかな。


「まあいいや、帰ろう。」


富士山のてっぺんまで登り行き先を大まかに思い出して走り切った。


普通に学校があるのにハードなトレーニングをしてしまった。


「全く、私を置いていくなんて酷くない。」


「あ、ルルさん。」


ケモミミとしっぽは仕舞ったのか、学校での美少女姿のまま街に出る道で待ってくれていた。

ちなみに前回会ったときは巫女装束だったのに対して、現在はカジュアルなスカート姿という絶賛山の中にあっていない格好をしている。


「蚊に刺されない?」


「魔力を使って虫よけしてるから蚊どころかダニやノミも付かないわよ。」


それは羨ましいな。

応用すれば布団のダニとノミを追い出せるじゃん。


「あなたのベットから大量のダニが出てきたからそこに捨てといたわ。

 あなたのお母さまはきちんと干してくれていたようだけど、私には耐えがたかったから勝手にさせて貰ったわ。」


よかったわよねって。


「うん、ありがとう。」


「それで話を戻すけど、私を抱き枕にしてなんの詫びも入れずに部屋から出るとはどういう了見かしら。」


「ダキマクラニシテイタノカ。」


「なんであなたが今にも忘れたこと後悔している顔しているのよ。

 ってことは完全に忘れていたのね。」


「ワスレテマシタ。」


「血の涙流すとか、昨日アレだけ私の身体を求めていた男のすることかしら。

 あなたその気になれば私を組み敷けるはずよね。

 どうしてそれをしなかったのかしら。」


「初めては好きな人って決めてるんで。」


フルスイングをされました。

きちんと受けましたよ。

うけないともっと面倒なこと起きそうだったから。

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