"ウラ"を牛耳っている同士が付き合うとどうなるのか?

動点t/ポテトたくさんの人

第1話 噂…というかまぁ事実



「っしゃ〜高校入学や〜!!!!」




俺は意気揚々と正門をくぐる。

ここは公立海神丘高校。しんどくも手を抜いてきた受験を切り抜けついに高校入学…!


「えっと〜俺のクラスは、ほぉ3組か。」


________


「初めまして、担任の坂口です。よろしくお願いします。」


クラスの周りの雰囲気はまぁ普通って感じ。

まぁでも中学のノリでいったらいけるか…とか思いながら。

席は…といえばなぜかマンガでよくある一番左端後ろ。これはご縁があるのではないか?と思ったが、まぁそんなことはないだろう。


ちと友達できるか不安やなぁ…とか思いつつも、ホームルームと学活を切り抜け…。



キンコーンカンコーン_____


「それではみなさん、気をつけ。礼。」


『さようなら。』


入学式を終え、今日の学校生活は幕を閉じ…


たと思っていたら…。



「ひゃー、しょっぱなから気ぃちと張っとるんかな…疲れたぁ…。」


体がだるぅーい。疲れたなぁとか思いながら門を過ぎ去ろうとしたら。


「おいそこのお前。先輩に挨拶なしでどこ行こう思とんじゃボケ!」


「あ、あぁこんにちわ。」


「は?今やっても遅いわ。お前調子乗っとんな。そのあいさつも、アホみたいなトーンでしてきやがって。」


あーあ、でたなんかヤンキー特有の理不尽ギレ。

これは…殴ってくるパターンかなぁ。


「お前ちょっと躾たるわ。ちょこっちこい。」


と、襟を掴まれて、どこかへ引き連れられた。

もう大人しくしといた方が身のためだと思って抵抗はしなかった。


初日から…最悪やぁ…。


_________


「おい、足か拳、どっちがいい?」


「んじゃ拳で。」


「ほう、生意気やなお前。なんやねん"んじゃ"って。誰に口聞いとんじゃアホ!死ね!」


と、突然拳を振り翳してきた。

そして…


ドスッという鈍い音が俺を伝った。


「まだ足りへんやろうな、カスが。」


の一声の次の瞬間に拳が目の前にあった。


「グハッ」


痛々しい音と共に後ろに倒れた。


_______


それくらいからどれだけたったんやろう…。


男のしんどそうな吐息が繰り返し聞こえてくる。


体が痛くて動かない。


「どうや…思い知ったか。喧嘩ってのはな…勝ったらええねん。理不尽だろうが筋通ってようが。世の中そんなもんやろう…。」


確かになぁと思いながら、痛い体をおこす。


「お前…まだ動けんかよ…。」


「すみません先輩。先程はあんな態度を取ってしまい申し訳ございません。あなたがたの言葉を聞いて今、痺れました。」


「と、言うことで、理不尽にやり返します。」


はぁ!?という声をかき消すような拳を一発めり込ませた。

そこからは…あまり覚えていないが。


先輩が倒れていた。


気絶してて動かない先輩に、


「俺に喧嘩売るって、なかなかの度胸されてますね。じゃあとは頑張ってください。下級生にボコボコにされた心はズタズタでしょう。ケアは大事です。」


そう言い残して帰った。



_______次の朝からが大変だった


「凪路!?お前上に喧嘩売ったんか!?」


「凪路くん、その怪我大丈夫?」


「おいおい、まさかあの先輩を…!」


と俺の机を取り囲むようにして皆からの質問責め。オーマイガーこんなんなるはずちゃうかったのに。


「みんなーちょっとまったー。俺からの弁解をさせてくれ。いやあの時は喧嘩を理不尽にふっかけられたので、俺はそれを返しただけや。」


「いやいや凪路知らんのか?お前がやった相手…。」


すると、ここら一体の空気が冷たくなった。


「この地方を仕切る、暴走族のカシラねんぞ…!」


「え?ガチ…?」


「知らんかったの?」


「知るわけないやろ俺がぁ!えぇやらかしたやんほんなら…。」


「取り巻きもおるやから、多分これから毎日喧嘩三昧…覚悟しといた方がいいわね。」


「いや俺はこうする。」


そう、


「女性には絶対手を出さない、そして喧嘩は売られたときだけしか買わない。暴力はされてからやり返します。そして売られた喧嘩はしっかり買い取るまでやりつくす。」


「まぁ守ってやれるかどうかわからんが、俺らも協力する。」


「私も…!ちょっと怖いけど。」


「みんな…ありがとう…!」


その日、クラスの人たちに一生守られた。


そして他のクラスの人たちに、"地獄の鬼"というあだ名をつけられ、校舎全体に"凪路春人"という名が轟いた、と夜みんなから教えられた。



_______次の日から地獄の始まり


「おいお前、よくも俺らのカシラ、原田圭をやってくれたな!」


5人組のゴツい男が俺の通学路を遮る。


いかにもっ…!って感じのやつら。


「調子のってんちゃうぞボケ!」


そう1人が言い放つと一斉に俺に襲いかけてきた。



集団リンチ。周りを問わずひたすらに俺を殴ったり蹴ったり…。





______数分後


「じゃあ俺は学校に行きますね。さようなら。」


俺は横たわり動かない5人を背に、太陽の昇る方向へと進んだ。



そこからどこでも俺は喧嘩をふっかけられた。


学校の休み時間…、帰宅時…、なんなら出かけてる時まで。


さすがは総長。仕切る下のもんもようさんおるんやなぁとしみじみと感じた。



ことごとく全員を返り討ちにしてあげた。

絶対に、自分の掲げた条を守って。



______入学してから2週間


目を見開いた。ん…?どういうことやねん。

マジでどないした。


学校の門前から自分の通学路まで、背筋ピーンって伸ばしたイカツイ方々が2列長蛇の列をつくって内側に向いている。


『我らが大総統様!おはようございます!』


「え?…え?どういうこと…????」


わけわからへんどういうことや。


「大総統様に一生ついてゆく同胞たちです。皆、大総統様に初めて、敗北を味わわされた…いや、味わわせてくださったものです。」


「あら…そうなんですか…はぁ。」


「組織名…考えました!"暴西威壜(ポセイドン)"…いかがでございましょう!」


「いやクソだっさ。てかそんな組織作り上げんでいいすよ…。」


「我らのカシラ、原田圭が倒れた今、王座が不在で…。組織名を変えて再起しようと。」


「俺なんもやらへんからな。知らんで。」


「大総統様はなにもされなくて大丈夫です!我々が動きます!」


「はぁ…そうですか。ただし、俺の言いつけだけは絶対に守ってくれ。」


『何でございましょう…!』


「一、売られた喧嘩は必ず完璧に買い取れ。二、女性には何があっても手を出すな。三、暴力は振られてから返せ。四、いざとなったら俺を呼んでくれ。五、皆体が強靭すぎるから絶対人を殺すな、これを絶対に守ってください。」


『御意!!!!』


こうして戸惑いつつも"暴西威壜(ポセイドン)"が出来上がってしまった。



そして学校では"終焉帝"がいるという噂と共に俺の名前が広がっていた。

やめて、そんな広まり方したくなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!




俺の青春は何処へ。




_______そして何日か経って。


「カシラァ!北の方の凶悪暴走族を壊滅させました!これで俺たち、関西制圧です!」


「へ…?マジで…??」


「はい!皆我々の仲間に入りました!」


「え俺の出る幕あった…?」


「カシラには本当にやばいところ以外は出せません!」


「あ…マジスカ…。てかまだ結成して数日やろ?スピードエグないか?」


「我々に任せていただければ!」


「あ…おけです。」


俺…いらんくね?もうみんなが総長やん。


もう俺より全然強いし怖いし…!俺こんなん務まるんかよ…!!!!と内気。


________そして次の日


「カシラァ!大変です!!!!」


「どうしたんすか。」


「仲間が数人…やられました!」


「それはいかんな…。誰がやったんや…?」


「例の先輩の彼女さんです。」


「マジか…めんどいことなったなぁ。」


「そして、先程、こんなことを告げられました…!」


「というと…?」


「その人がカシラに会いたいと…!タイマンで…!」


嘘やろ…めんどくさいことなったなぁ。


「これはどうしたら」


「出向こう。俺が出る番や次は。場所と日時は?」


「次の日曜日、この学校の門前だそうです…!」


わざわざ出向いてくれるなんて…優しい人ですなぁ。

てかなんで俺の通ってる学校知ってんねん…って思ったら例の先輩ここの2年やん。


「わかった。必ずどうにかする。」



めんどくさいことにはなったけど、カシラとして、この事態は収拾をつかせないといけない。



なんてったって、このままやと俺の地位がお飾りになってしまいそうやもん!せめてもらったこの座をいかして安泰に終わらせる。


っていってもこれまで喧嘩してきたやつが言っても説得力ないな。はは。



もぉぉぉぁぁぁぁ!ホンマ俺の青春初っ端から失敗したァァァァァァァァァァ!




そう叫んでももちろん誰にも聞かれることはなかった。

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"ウラ"を牛耳っている同士が付き合うとどうなるのか? 動点t/ポテトたくさんの人 @Doomight

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