第7話 想い〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

「希美、この間の男の子だけど…」

「この間…?…あー、吉良君?彼がどうかしたの?」

「もしかすると…写真の男の子じゃないかしら?」



ドキッ

違う意味で胸が大きく跳ねた。




「えっ?」


「いや…本人に確認したわけじゃないんだけど…私の思い過ごしかもしれないから、ハッキリとは言えないんだけど?」


「そうか…分かった。それとなく聞いてみる」




次の日の学校帰り。



「ねえ、吉良君」

「何?」

「吉良君、幼い時、何か習い事してた?」


「習い事?それは、体力的な事かな?それとも学習的な事?習字とか、算盤(そろばん)とか…英会話とか…」


「体力的な事かな?」


「体力的?少し位ならしていたよ〜。すぐに辞めちゃったけど…」



クスクス笑いながら、恥ずかしいのと情けなさから笑みがこぼれたのだろう。




「辞めた?」


「うん。一ヶ月は行ったのかな〜?案外、行く振りしてサボっていたかも?でも、どうして?」


「いや…」



私は写真の話をした。




「ふ〜ん。そうなんだ~。それ俺じゃないと思うよ?だって俺、希美ちゃんとは初めて会ったから〜」


「そうか。分かった。ごめんね。変な事聞いて。気にしないで忘れて」


「良いよ〜。それより…希美ちゃん、ちょっと付き合ってくれるかな?走るよ!」


「えっ…?」



グイッと私の手を掴み、走り出した。


どれ位走り回っただろうか?


気付けば、もう家の目の前に来ていた。





「……!!」




「吉良君、私より道、詳しくない?」


「えっ?」


「だって…もう家だし」


「あ〜、毎日通っていると興味本位で色々な道を通って散策がてら探索してたから〜」


「えっ…?あ、そうか…確かに送迎してるからね」


「そういう事〜。でも、迷った時もあったけどね〜」


「ハハハ…迷ったんだ」


「うん、迷路から抜け出せない感じ?帰れるのかと思った時もあったよ」



笑いながら、話す吉良君。




「吉良君も、そういう事あるんだね?何でも出来そうな感じなのに」


私は笑みがこぼれる。


「人間だから、ない方がおかしいよ〜」


「そう?」


「じゃあね」

「うん。ありがとう」



帰り始める吉良君の背中に向かって……



「吉良君!待って!」


「何?」



足を止め振り返る吉良君。




「……どうかしたの…?」

「えっ?」

「…いや…急に…走り出したから……」

「あー、運動がてら走っただけだよ〜」

「……本当に…?」

「本当」

「…それなら…良いけど…」





―――だけど――――




私の中で何かありそうな気がして……



そんな胸騒ぎがしていた




――――気のせいだうか?




――――私の思い過ごし?




正直 引っかかっていたのが



本音なんだけど―――――






歩み寄る吉良君。


そして、顔をのぞき込んだ。



「そんな顔しないの〜」


「…だって…何かありそうな気がして…」




ポンと私の頭に触れる。



ドキン

胸が大きく跳ねる。




「そんな顔されたら帰るに帰れないよ」


「…じゃあ…話して…」



「………………」




「…吉良君…」


「…分かった…。現段階ではハッキリとは言えないんだよ。そうとも限らないから」



「………………」



「ハッキリじゃなくても良いよ。吉良君が、今、思っている事、話して欲しいの!…何か…あるんでしょう?」



「…ちょっとね…」



「……………」



「正直、希美ちゃんを巻き込みたくないんだ……でも……逃れる保証は…ゼロに近い…。蒼ちゃんも…勇ちゃんも…巻き込まれる可能性がある!…と、いうよりも確率は高い」



「………………」



「気を付けて行動して。俺が送迎出来るなら良いけど…何か起こりそうな時は上手くいかないのが…現実だから」



「……………」



「だけど、何かあった時は必ず俺達が助けるから」


「…吉良君…」




グイッと抱き寄せ抱きしめられた。



ドキン

胸がいつも以上に跳ねた。



ドキドキがおさまらず、鼓動が早くなるのが分かった。




「じゃあね」



そう言うと足早に帰って行く。



それからも胸の鼓動はおさまらなかった。





私………




       好きなのかもしれない―――――









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