第4話 海水浴①

 夏休みに入ってそろそろ中盤。

私達子供は夏休みをエンジョイしていましたが、世の父親は暑い夏を汗を拭き拭き仕事に精を出してます。もちろん母親も家族のために家事に頑張ってました。

 この当時はまだ冷房無く、うちわで煽ぐだけでした。

しかも街中には夕方でも風はムッとするほど暑苦しく家の中にはとても居れないと玄関先に床机しょうぎを置いて涼んでました。



 ようやくお盆付近になり家族で海水浴に出かけることになりました。

というのも岐阜県は海なし県なので本当の海を見た事も無ければ、海水が塩っ辛い事も知らないのです。3歳の頃に始めて家族で行ってからは毎年のように野間海岸へと行ったようです。


 親戚と一緒に4家族ほどで電車に乗り継ぎ愛知県知多郡にある野間海岸へと。

大垣駅から鈍行に乗るので相当時間が掛かったと思います。

 途中食べるためのおにぎりと水筒を入れたリュックを背負って。手にはトンボを捕まえるタモと浮輪を持ってました。


 母親は着替えや薬などで風呂敷で包んだ大きな荷物。

 父親は行李こうりに入れたものを担いで。

電車内は混雑してて席があれば子供に座らせ、母親には行李に腰掛けさせ自分は立ってました。


 民宿で滞在したのですが、毎年滞在しているうちに民宿の方とも家族ぐるみで付き合ったようで、父親が亡くなるまでずっと葉書で連絡は続けてたようです。


 民宿に辿り着いた子供達は我先に海岸へと走り出します。

後から父親が休憩場所を探し場所取りをします。たいがいは木の陰になりそうな場所に敷物を敷いて、着替えた母親達が食べ物などを持って来ておしゃべりします。

 父親たちと年上の従兄弟がビールやプラッシーを持ち込んで食べたり飲んだりしているうちに、子供は海岸で綺麗な石を探したり、岩の陰に隠れたカニを捕まえたり遊びます。


 年上の従兄弟が泳ぎ出すと、子供の中でも上の子たちも泳ぎ始めます。

下の子は母親と貝殻拾いや砂の城を作ります。



 夕方になり肌寒くなると民宿に戻ります。

 皆真っ赤に日焼けして、風呂の湯に入れなくてひーひー言ってました。


 年上の従兄弟が誘ってくれて海岸へ蟹を見に行きました。

従兄弟はタモとバケツを持っています。


 こっそりついていくと、海岸にはびっしりとそこら中に蟹が歩いてました。

従兄弟はタモを片手にもう片方にバケツを持ち走り出します。


 さ~~~~っと蟹が逃げ出します。とても捕まえられるようなスピードでは無いですが、従兄弟は2回ほどタモを使って蟹を10匹ほど捕まえました。


 後ろからついて来た私に見せてくれましたが、よくこんなにうまく捕まえれるのだろうと尊敬したものです。


 この蟹は翌朝の味噌汁に出るとかで少し可哀そうになりました。


 この日の晩御飯は民宿のおじさんが採って来た魚で刺身や煮物が沢山あり、すごいご馳走だったです。


 私達は夜9時には寝たと思います。

 

 父親たちは刺身をつまみにビールを飲んでたのが、電車での疲れでこれまたすぐに寝たらしいです。

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