第31話⁂消える子供達?⁂

 翔は、父親組長夫婦が経営する、この施設〔レインボ―🌈〕で生活を送る事になった。

 施設は茨城県笠間市の、森深い山々に囲まれた何とも自然豊かな景勝地に立って居る美しい場所。


 最初の内は入所者達も気味悪がって心無い暴言を吐いていたが、理事長の兄の息子である事が分かると手のひらを返したように態度が変わった。


 理事長は何の権限もない肩書きだけの、あの不良医師なのだが、実質上の経営者柳田組長を表舞台に引き出す訳には行かない。

 経営にも差し支えるので。


 そこで理事長の兄の息子という事にしてこの療育センタ―に翔を入所させた。

 何故その様な回りくどい事をしたのかと言うと、このように醜い姿では虐めの標的になると思い、手も足も出せない様にする為に理事長の兄の子供とした。


 どうして柳田組長が裏に引っ込んだのかって?

 そこには経営して行く上でリスクの高い事は出来るだけ避けたい。

 

 やくざ稼業の柳田組長を前面に出す事は、イメ-ジダウンにも繋がるので、不良医師であるお飾りの現理事長を前面に押し出し、当然の事ながら登記簿の名義は、柳田組長名義である。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 翔は、最近は治療もひと段落付いたので障害児施設〔レインボウ🌈〕の方に移っている。


 そこでは翔は散々虐められていたどころか、最近はこの施設内でボス然としてみんなの人望を一身に浴び君臨している。


 同じ障害と言う痛みを持った者同士、強い絆で結ばれて行った。


 近辺には北山公園があり、360度パノラマの展望台があるほか、休憩施設やキャンプ場があり施設の仲間たちと職員さんに連れて来てもらい、バーベキュー場で肉や野菜をたっぷり買って来てバーベキューパ-ティーをしたものだ。

 

 それはそれは自然の大地でのバーベキューは、最高に美味しかった。


 {四季折々の花々が咲き誇り春には桜が、秋には紅葉が楽しめる自然豊かな公園で美しい花々を眺めながらのバーベキューは最高だった。みんなの顔はほころび、キャッキャ言って肉に頬張り付いていたっけね~?}


 だがこんな大盤振る舞いが許されるのは翔が施設に居る日だけで、翔は一卵性双生児の琢磨と気が合いよく茨木の自宅に帰っていた。


 そして…翔が施設に居ない日を見計らってこの施設の子供達が一人また一人と消える事件が相次いでいた。


 これは一体どういう事が起きているのか?




 そして…翔君は抜け落ちた髪の毛と醜い顔を隠すために、顔前面を覆い隠すように、かつらを被っていた。

 それを多毛症と勘違いしている美咲と直樹なのだ。


 だから……多毛症のもう一人とされているのは翔である。


 だが何故翔は、多毛症の変装をする必要が有ったのか?

 当然醜い姿を隠したいのは分かるが、それでも…あちこちで発見されているのだが、 何故翔は、あちこち出歩く必要が有ったのか?


 当然葵であり椿辰也という事も十分に考えられるが、翔と葵では特徴が違うので、やはり翔があちこち出歩いている事は分かっている。


 こだけ醜い姿を世間に晒してまで……イヤイヤ?かつらを被ってではあるが、変装して出歩いている訳。

 その理由は何故なのか?


 障害児施設〔レインボウ🌈〕の出身者である発達障害のミュ-ジシャン矢口謙太から奇妙な事を聞いたからである。


「助けてヨ!翔兄ちゃん!施設の仲間が知らぬ間に行方不明になって居るんだ?」


「エエエエ————————ッ!一体どういう事ヨ?誰かが虐めて、それで辛くて逃げ出したって事は無いか?」


「そんな事は絶対無い!皆障害が有って自分の事で精一杯だから……」


「じゃ~俺は、やけどだけでどこも悪くないから出歩く事が出来るから、探ってみるね?」

一体何が有ると言うのか?


 次から次へと消えている施設の子供たちは何処に?

 こうして……見張り出した翔。


 その先に見えて来た物は………。










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