成瀬くんとチャラ男

 成瀬くんとは、学校は別々。

 バイトだけの間柄だ。

 

「あーあー、早くバイト行きたいなぁ」

「えっ、カレンそんなに仕事すきだった?」

「違う。成瀬くんに会いたいのっ」

「あー、ねー」

 

 私がこんなに成瀬くんを好きだというのに

 ひとっつも…

 これっぽっちもなびかない成瀬くんって一

 体何者なのよ。

 

「カレン、彼氏第二候補来てるよ」

「えっ?第二候補⁇」

 あー、学年一のチャラ男じゃ〜ん。

「カレンちゃ〜ん」

「あ、佐久間くん…」

「ねぇ、ねぇ、いつオレと付き合ってくれん

 のぉ?」

「付き合わないよ」

「えー、だって今彼氏いないんでしょ?もっ

 たいないって〜」

「うん、もったいないの意味がわからないけ

 ど、とにかくごめん。好きな人がいるの」

「えっ、好きな人?どこどこ⁇どこのだれだ

 よ⁉︎」

「バイトの人だから」

「へー…バイトねー。」

 急にテンションを下げて佐久間くんは、行

 ってしまった。

 ホッ

 

 なんて一安心したのも束の間…

 

 ‼︎   ‼︎   ‼︎

 

 バイト先に佐久間くん…

 

「えっ、なんでいるの?」

「やだなぁ、お客さんだよ〜。」

「あー、お客さん…」

「ねー、そろそろバイト終わりでしょ?この

 後少し付き合ってよ」

「え、なんで⁉︎」

「いいじゃ〜ん。明日休みなんだし〜」

「イヤだよ。ごめん」

「そんな事言って、本当は付き合ってくれる

 んでしょ。じゃ外で待ってるねー」


 え〜ぇェ…

 どうしよう…。

 とりあえずなんか理由つけて早く帰らなき

 ゃ。

 

「お疲れ様でした…」

「おい、三上」

「ん?」

「また変なのに目つけられてんのか?」

「あー、同じ学校なんだけどね…」

「はぁ〜、しゃーねーな」

「えっ」

「行くぞ」

「えっ、ちょっと…」

 

「あー、カレンちゃ…ん?ダレ⁇その人。ん

 ⁇俺にしか見えない奴か⁇」

「いや、そうじゃなくて…その」

「すいませんが、オレのカレンになんか用事

 っすか?」

「へっ?オレのカレン⁇兄貴?弟⁇」

「あー、」

「オレ、彼氏です」

「えっ、カレンちゃん昼間彼氏いないって言

 ってたよね⁈」

「うん…」

「さっき、オレから告白してオーケーもらっ

 たので、ほやほやっす。じゃあ、これから

 イチャイチャするんでもういいっすか?」

 成瀬くんが私の肩に手をまわした。

 キャーッ

「あー、なんだよ〜。そう言う事かー。じゃ

 あ…お幸せに。でも‼︎別れたらいつでも俺

 のとこにおいでよ!女いてもすぐカレンち

 ゃん優先するから‼︎じゃ‼︎お幸せに。彼氏

 くん‼︎」

 そう言うと佐久間くんは、帰っていった。

 成瀬くんが肩にまわしていた手を下ろした。

 

「ありがとう。成瀬くん」

「うん。いいよ。もう半分保護者みたいなも

 んだし」

「えっ、保護者?」

「うん。だってそうだろ」

「保護者は、やだなー」

「なら、警備員?」

「う〜ん…ケビンもなんか違うような〜…」

「ケビンって、そんな略し方あるかよ」

 あははは

「やっぱ、三上おもしれ〜。じゃ気をつけて

 帰れよ」

 クシュクシュ

 髪の毛を成瀬くんにくしゃくしゃにされた。

 でも、なんだか心地よかった。

 

 あーあー…

 保護者ねぇ。

 成瀬くんは、一体どんな人なら落ちるんだ

 ろう…。

 う〜ん。

 

 あっ、もしかして⁉︎

 

 バイトの休憩中

 わーい。

 成瀬くんと休憩〜。

「ねぇ、成瀬くん」

「ん」

「成瀬くんは、犬派?猫派?」

「うーん。家で猫飼ってるからどっちかって

 言うと猫派かなー」

「ふぅ〜ん。猫派かニャーん」

「はい?おまえにそんなの求めてない」

 頭に手をのせて耳を下げる風に

「しゅん…」

 ってやってみた。

「はぁ〜、暇人」

 大きなため息をつく成瀬くん。

 っ…なびかない。

 こ、これも失敗だわ…。

 一体どうすればいいのぉー。

 

 思いっきりヘコむ〜…。

 ニャンとか恥ずかしかったのにーっ。

 

「おい、三上」

「へっ?」

「これやる」

「わぁ〜、ありがとう」

「チョコくらいでそんなに喜ぶなんて幼稚だ

 な」

「ひっどー、私は子供じゃありません」

「じゃあ、これ知ってる?」

「えっ?」

「チョコ食べた後キスするとチョコの味がす

 るって」

「へー、やったことないから初耳」

「なら、今してみる?」

「えっ。えと…」

「フッ、冗談に決まってんだろ」

「んもー‼︎からかわないでよーッ」

「やっぱりおまえは、子供だ。休憩終わりだ

 行くぞ」

「はぁ〜い…」

 あー、なんか調子狂う…。

 

 成瀬ー‼︎

 いっつも私をおちょくってー。

 こっちからなんかドキッとさせたいなー。

 何かないかなー…

 セクシー作戦失敗してるからなー。

 

 続く。

 

 

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