第八話 

「姉さん……中に入ってもいいですか?」と私は姉さんの部屋の扉をコンコンとノックする。

「いいけど、どうしたの?」

「姉さんとお話がしたくて」


 私は姉さんの部屋の扉を開ける。


 ここで姉さんは先輩以外の男とシてるんですよね。

 それが誰かは知りませんが、先輩がもっと私に好意を抱くようにするために絶対に誰か特定します。


「えーっと、夢芽? どうしたの?」


 椅子に座り、机の上には数学の問題集とノートが置かれていたことから勉強をしていたのだろう。


「あっ、はい。えーっと、ですね。今日は帰りが遅く、どこに行ってたんですか?」

「そ、それはね……えーっと」と手をいじり、少し恥ずかしそうな表情をしている姉さん。


 姉妹の私から見ても姉さんは本当にうざいくらいに可愛いですね。

 本当にむかつきます。


「今日、光一くんの体調が悪く早退をしてしまったので……お見舞いに」


 やっぱり、姉さんは先輩のことが好きなんだ。

 間男は恋愛対象じゃなくて、ただのセフレなんですね。


「そうなんですね」


 すると、カァーっと顔を真っ赤に染めて両手を振りながら。


「って、別に破廉恥なこ、ことはしてないからっ!」


 なんでこんなに乙女な姉さんが、裏ではあんなことをしているのかはわかりませんが、私としては都合がいいですし、どうでもいいです。

 むしろ、嬉しいです。

 だって、そうすれば先輩は私を好きになってくれるから。


「姉さん♪、別に変なことなんて考えてませんよ。姉さんのえっち♡」

「はい! これでお話は終わりね、じゃあ、出ていきなさいっ!」

「はい」


 今は姉さんがシているところとその相手を見つけて先輩に伝えてどんどんと姉さんを嫌いに、壊れてもらうしかないですよね。


「失礼しました」と私は姉さんの部屋を後にしようとしたところでいいことを思いついてしまった。


 よし、今度、隠し撮りをするとしましょう♡。


 私は姉さんの劣化版だ。

 顔も頭もルックスも運動も恋愛関係もすべてが私より上だ。

 先輩は元々私が紹介して私が欲しかった人なのに、姉さんが私から先輩を奪った。


 だから、姉さん♪。

 次は私が姉さんから先輩を手に入れる番ですよ♡。



「光一くん♡」

「先輩っ♡」


 教室、俺は地面に倒れていると、真奈と夢芽が俺に近づいてくる。


「な──っ」と俺は後ずさる。

「光一くん♡」

「先輩っ♡」


 近づきながら、ワイシャツを脱ぎ二人はブラジャー姿になる。


「何してるんだ……」

「いいじゃん、私たち二人と」

「先輩と三人でシましょう♡」


 そのまま、スカートを脱ぎ下着姿になった二人は俺に近づいてきた──。


「うあああ──ッ!」


 慌てて俺は布団を上げてズボンをあげてパンツを見た。


 さすがにダメだろ……、と頭を押さえる。


 今の俺には真奈も夢芽も二人とも同じくらい好きってことかよ。

 

 やはり、思い出という物は積み重ねれば重なるほどなかなか崩れない物になるらしい。

 寝取られてもなお、夢芽と同じくらい好きだなんて。

 真奈はもう俺のことが好きなはずがない、早いうちに別れて夢芽と正式に付き合う道を選んだ方がいいよな。

 

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