第44話 葬儀式

クリフ神官長がなくなった翌日、アルフレッドにカイルから手紙が届いた。

そこには、明日教会で葬儀式が行われると書かれていた。

翌日の早朝、トレヴァーがアルフレッドに声をかけた。

「アルフレッド様、ご支度を」

「ああ」


 アルフレッドは早めの朝食を済ませると、ダークグレーのスーツに着替えた。

 トレヴァーとフローラも、礼服に着替えている。

「それでは、そろそろ教会に向かおうか」

 アルフレッドが言うと、トレヴァーは頷いた。


 馬車を走らせ教会につくと、そこにはアビントンと四人の男がいた。

「よお、アルフレッド様」

「やあ、アビントン。どうしてここに?」

「……カイルから、葬儀式の取り仕切りをやってほしいと言われてね。どうも、クリフ神官長の遺言らしい」


 アビントンは神父らしい正装をしている。

「そうですか」

「それじゃ、俺はもう準備に向かう。礼拝堂で会おう」

「ええ」

 アルフレッドはアビントンに返事をした後、トレヴァーとフローラに言った。

「私たちも礼拝堂に向かいましょう」


 礼拝堂に着くと、最前列の席にはレイスとカイルがいた。

他の参加者はいないようだ。アルフレッド達は三列目の席についた。

 レイスとカイルが聖歌をうたい始めた。

 十字架を掲げたアビントンが先頭に立ち、棺が四人の男たちによって運び込まれた。

 棺が安置され祈りがささげられる。


カイルとレイスが二つの大きな白い花束の一つをアルフレッドに渡した。

残された者たちは、棺の中に白い花を置いていく。

「……寂しい葬儀式ですね」

 フローラが小さな声でアルフレッドに言った。

「まあ、ね」


 アルフレッドはそれだけ言うと、残っていた花をすべて棺の中に入れた。

 棺のふたを閉め、またアビントンの連れてきた男たちが棺を馬車に乗せた。

 馬車が墓場に着くと棺を下ろし、新しく掘られた穴の中にクリフ神官長は安置された。

 土をかけ、埋め終わるとアビントンが祈りの言葉をささげ、葬儀式は終わった。


 教会に戻るとカイルが疲れ切った表情で、アビントンに言った。

「ありがとうございました」

「……お前も疲れただろう。よく休むと良い」

 アビントンは男たちと町へ帰っていった。

「アルフレッド様も……ありがとうございました」

「……クリフ神官長のことは……残念だった」

 アルフレッドはカイルとレイスをいたわるような笑みをうかべ、お辞儀をして馬車に戻った。


 葬儀式を終え、屋敷に帰るとアルフレッドは言った。

「トレヴァー、フローラ、お疲れ様」

「……いいえ」

 トレヴァーとフローラは着替えを済ませてから、いつもの仕事に戻った。


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