第50話 収集部屋に保管

 ハンターギルドで緊急依頼の報告を済ませた。リリスールさんが対応してくれた。横で見ているだけだった。メイジフェイク以外の自素石と素材を売った。報酬と合わせると何日も暮らせる金額となった。


 明日も三人で魔物退治に行く。集合は二刻の鐘となった。今日は解散となって、ハンターギルドでリリスールさんとライマインさんと別れた。

「上位魔物が近づくと買い物も難しくなるよね。今日はたくさん品物を買って、収集部屋に保管したい」


「何を買うつもりですか」

「保存できる食べ物と日用品ね。せっかくの収集部屋よ。有効に活用したい」

 最初に食料関連のお店に寄った。通りには人で溢れていた。乾燥された食材や穀物類も買った。お肉は家の周辺で確保できるから後回しにした。


 袋や紐などの小物もいくつか買った。町を出たあとに、大きな品物は転送魔法で収集部屋に移動させた。

 私とプレシャスは歩いて家に戻った。

「まだ転送魔法に慣れていないから、収集部屋を確認するね」


 寝室から収集部屋に向かった。

「無事に届いているようです。魔方陣は合っていますか」

「指定した魔方陣に置いてあるよ。あと何度か確認して問題なければ平気ね」


 最初に送った品物は魔方陣の外側にあった。中央から出現して外側に追い出されたみたい。品物同士が重なっても消滅しない。安心材料だった。

 貴重品を置く魔方陣へ移動した。メイジフェイクの自素石を棚にしまった。緊急依頼の報酬の一部も棚に保管した。


「転送魔法になれたら日用品を少しずつ揃えたい。宝石は出会いが大事だと思うのよ。気長に探すつもり」

「アイ様が喜ぶ宝石はきっとあると思います」

 収集部屋での用事が済んだ。


 テーブルのある部屋に移動した。夕食を作る前に一休みしたかった。椅子に座るとテーブルの上にプレシャスが乗った。

「多くの魔物と戦って疲れたみたい。とくにメイジフェイクには魔法を唱えるだけでも大変だった。何とか勝てたけれど連続魔法で倒すのはおかしい?」


「通常は魔力が持ちません。アイ様ならではの戦い方です」

「一般的ではないのね。連続で魔法を唱えるのは目立ちそう。緊急以外は使わないほうがよさそうみたい」

「人目を引きますので、無闇に使わないほうがよいと思います」


「イロハお姉様の世界を楽しむため自由に動きたい。目立ちすぎるのは避けたい。自由に旅したいけれど上位魔物は平気?」

 気になっていた。上位魔物は消滅するまで待つしかないと聞いた。近寄るのも困難だと容易に想像できる。


「アイ様はわたしが守りますので大丈夫です」

「プレシャスがいれば安心できるね。でも行きたい場所が上位魔物に破壊されると楽しみが減る。危なければ、プレシャスが上位魔物と戦ってくれる?」

「アイ様の安全が優先です。上位魔物の近くは楽しくありません。すぐに遠くへお連れします。仮にわたしが戦えば広範囲が戦場となります。街一つが簡単に消える規模です。アイ様を危険にさらします」


 予想以上に大きな戦闘になりそう。上位魔物も相当強いと改めて分かった。

 今までプレシャスは私の近くにいた。少なくともすぐに駆けつけられる範囲にいた。イロハ様から私の安全を任せられていると思う。私を避難させてから、プレシャスが戦うとは考えられない。


「上位魔物は自然消滅を待つしかなさそうね」

「その方法が確実です。他の方法では危険が大きすぎます」

 討伐できる戦力が揃ったとしても、国を滅ぼす覚悟が必要そう。今の私にできることは街周辺の魔物退治くらいだった。


「マユメメイが無事に戻ってきて欲しい。きっと大丈夫よね」

「アイ様の祈りも通じると思います」

「無事に帰ってきたら手料理をご馳走したい。今日は新しい料理を試してみる。夕食の準備を始める」

 席を立ってプレシャスと一緒に台所へ向かった。

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