池袋爆音夢想家 (限定公開)

塚田誠二

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 二〇二一年秋、池袋――。

 久世くぜはいらだっていた。外に出るといつもこうだ。折角の休みを利用して、池袋駅構内にあるお気に入りの立ち食い寿司屋に来ていたというのに台無しだ。その寿司屋は安くて脂身が多くて旨いのでどうしても行ってしまう。

 サンシャイン60通りを歩いていると、いつも人の多さにうんざりしてしまう。かわせどもかわせども、人にぶつかりそうになる。これじゃあ癒しにならないじゃないか。この街には常に人が押し寄せ、人が溢れ出してくるようだ。今日も中高生から中年の夫婦まで、イベントもないというのに、人がうねりをなしている。地方では考えられない。

 池袋を一言で言い表すと繁華街。風俗、居酒屋、パチンコ、オタクの街。メイド喫茶があり、休みの日にはサンシャイン60通りをコスプレして髪から目までカラフルに彩った人たちが歩いている。

 久世はこの池袋という街に来て四年目だ。だんだんとこの人の多さも、すれ違う人に舌打ちをされるのにも慣れてきた。そしてここが繁華街で、犯罪が多い街であるのも身体に染み付いてきた。しかし、早朝どの通りも生ごみの匂いで吐き気がする癖は、相変わらずだったが。久世はこのように自分の気持ちを見失いそうになる時、俺は仕事をするためにこの街にやって来たのだ、この街を守るのが仕事なのだと思うことで気持ちを保ってきた。

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池袋爆音夢想家 (限定公開) 塚田誠二 @Seiji_Tsukada

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