三節「洞窟へ」

あれから二日後、調査の日になった。

「ここが目覚めた洞窟だ」

案内されたのは街から離れた森の奥にある洞窟だ。ここ二日で街や周辺の森は探索をしたが、 こんな所に洞窟があった事が驚きだ。それに何か威圧的な雰囲気を感じている。

「ほら、行くぞ。自分の目で確かめるのだろ?あ、魔獣が潜んでいるからな。気を付けてくれ」

そう言いながら進むハヤセさん。その後ろをついて行こうと思った瞬間

『君はこの現実を見て耐えられるかな?』

そうささやかれたような気がした。


先ほどハヤセ騎士が話していた魔獣はアルダマラと呼ばれるものだ。ヒョウのような見た目だが、大きさがヒョウの約2倍と大きいサイズである為、人と並ぶとかなり大きいと感じるのだ。ここでよくあるのが魔物とどう違うのかということ。簡単に説明するなら単体でも生存出来るのが魔獣で団体で行動し生存確率を上げるのが魔物と区別されている。この中でも脅威なのが魔獣だ。単体で生存出来るほど知性が高く。通常の騎士(粒子属性が使えない人)が3人以上いて対等に戦える程の脅威だ。


中に入って少し時間がたった。洞窟の奥地に到達する直前だ。

空気の流れが変わった気がして下に向けていた顔を前に向けた。先ほどまで前方にいたハヤセさんがいつの間にかいなくなっており、アルダマラが人の匂いに釣られてようにこちらへやってきたのだ。勝ちを確信したと思った獣は獲物を喰らいに警戒しつつも少しづつ近づいた。こちらも殺されぬように身構えるが、今のままでは勝てないと本能が叫んでいる。すると奥で大きな爆発音のようなものがし、それと同時にこちらの戦闘が開始した。爪や鋭い牙での攻撃されるが、避ける事しか出来ない。もしこの剣で弾きでもすれば使い物にならなくなると、そう思ったからだ。このままだと確実に死ぬと思ったその時。

「自分の刀を召喚出来ないのか。つまりまだ奥地に辿り着いてないのだな」

と後ろから声がしたのでさすがにまずいと感じたが

「警戒しなくていい。私は君を導く者だ」

後ろから桜が舞ってのお面をした男がこちらに走ってくる魔獣の横顔を殴ったのだ。反撃しようと飛びついてきたアルダマラだが、避けらえてしまい壁にぶつかりよろめいた。

くらいは張れるとは思ったが・・・このザマか・・・この状況を打開するなら私が何とかするしかないのか」

「何もんだよ!アンタは!」

「言っただろ?君を導く者だと。私の名は、この世の抑止力だ」

ゼロはそう言いから抜刀し周囲に桜を散らした。刀へと何かを集めて斬撃の様なものを放ちアルダマラを八つ裂きにしたのだった。俺は思わず「嘘だろ・・・」と思ってしまう程、速い斬撃だったのだ。

「早く先に行け。この先なお前の求める物があるといいな」

そう言い桜を散らしながら消え去って行った。ゼロと名乗る男は一体何者なんだろうか。だが今はハヤセさんとの合流が先だ思い正面を向くがもう一匹が血の匂いに釣られこちらに近づいていた。今度は、隙を伺うこと無く体の下に滑り込んで切り裂き、洞窟の奥へと走ったのだ。なぜだか、今は体が軽い気がした。


数分後。

「ハヤセさん!」

「大丈夫か?こっちは終わったから心配ないぞ」

ハヤセさんがこちらに気がつき、こちらに向くが数体のアルダマラの死骸しがいの上に立っており、多少ではあるが驚いてしまった。

「キョウヤ、いつはぐれたかわかるか?」

死骸から降り、顔の血を吹くハヤセさん。

「わからないです。いつの間にか前にハヤセさんがいなくなっていて・・・アルダマラの仕業では無いのだけは分かりますが・・・」

何もわからない状態だ。誰がこんな事したのか。それすらも不明だ。

「ひとまずこの奥にお前が目覚めたところがあるから先に行け。私はアルダマラの処理をしてから行く」

剣を背中のさやに収納し先へ進むが、奥には刀が置いているだけだった。その刀に触れてみると意識が途切れるように目の前が真っ暗になってしまった。




to be Continued…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る