グッド・ジョブ媚薬 3部

渡夢太郎

3部 ニューヨーク編

第1話タイムズスクエア

4月8日成田発JFK空港行きの機内は

水平飛行に移りシートベルトのランプが

消えると原美咲はシートを倒して

窓の外を眺めると青い空と

雲海が見えていた。

「はあ、亮」

美咲はため息をついた。


~~~~~~~~

タイムズスクエアのアベニューと

42ストリートが交差する辺りは

劇場が立ち並びミュージカルの

看板がきらびやかに光輝いていた。


「キャー」

そこに女性の悲鳴が聞こえ

Tシャツにジーンズの金髪の女は、

体の大きい黒人に体を押さえられ

車に乗せられようとしていた。


「やめろ!」

止めに入った白人の男に

黒人の男の拳銃が向けられ

「パーン」

と言う乾いた音がすると

通行人がいっせいにその場に伏せた


白人の男には弾が当たらずその場に伏せていると

タイムズスクエア駅のほうから走ってきた男が

黒人の男の拳銃を蹴り上げそれが落ちる間に

その筋肉質のボディにパンチを入れ

股間を蹴り上げそのまま

ジャンプして黒人のあごをけった。


その黒人は大木が倒れるようの後ろに倒れ

男はジャンプして黒人の肋骨のすぐ下

に全体重をかけて膝を突き立てた。

黒人は口からゲロを吐きその場に白目を出して

気を失った。


ショートの金髪の女性はその隙に駆け

足で人ごみの中に逃げ込で行った。


パトカーがサイレンを鳴らして

到着をすると警官は横たわったままの

黒人にピストルを向け大声で怒鳴っていた


「フリーズ」

黒人を倒した男は警察を見て独り言を言った

「来るのが早い、さすがニューヨークの警察だ」

男は周りを見渡して標識を見上げた


「ええと、セントラルパークは?17本先か・・・

 遠い!」

男はため息をついた。

「ハーイ、さっきはありがとう。勇気あるのね」

黒いドレスにブラウンの髪の女が声をかけて来た。

「ん?誰?」

男は女の顔を見た

「私の友達を助けてくれたわ」


「ああ、さっきの金髪の女性ね。君の友達なんだ」

「ピストルを持っているやつに向っていくなんて

命知らずか、相当おせっかいな人ね」

「ああ、僕は両方かもね」

「うふふ、ところで何か探しているの?」


「はい、セントラルパークへ行きたいんです」

「じゃあこの道をまっすぐよ。タクシーですぐ」

「ありがとう」

男は歩き出そうとすると女が止めた。


「ちょっと待って歩いていくの?」

「はい」

男はまた歩き始めると女は首を

かしげて後を付いて歩き出した

「ねえ、あなたチャイニーズ?」

「どうして?」

「だってさっきのカンフーでしょう、

それに英語がとても上手」


「いや、ジャパニーズだよ。たぶん」

「サムライ素敵、せっかくだから私と遊ばない」

「ごめん、お金が無いんだ」

「えっ?ジャパニーズなのに」

「あはは、そうなんだだから遊べないよ」


「本当?じゃあ、今夜泊まるホテルは何処?」

女はにっこりと笑った

「どこだろう?」

「ホテルの名前知らないの?」

「うん、ホテルの名前だけじゃなくて・・・自分の名前も」

「野宿するつもり?」


「あはは、考えていなかった」

「それよりお腹すいていない?」

「はは、そうですね」

ただ笑うだけの男に女は興味を持った

「じゃあ私の家に来ない、何か食べさせて上げる」

「えっ?本当」

~~~~~~~~~~

女は男の手を引いてタクシーに乗せると

運転手に行き先を言った

「どこへ行くの?」

「私の家、サウスブロンクスよ、

セントラルパークの向こう側で

ヤンキースの本拠地。物価も家賃も

安いから住んでいるの」


「治安は良いんですか?」

「アジア人は危ないわね。夜は誰も危険だけど」

男は変なところへ連れて行かれるんじゃないかと

不安になっていた


「大丈夫、一人暮らしだから安心して」

「はい」

男はホッとして笑った

「私の名前はジャネット」

「僕の名前は・・・」

「どうしたの?」


「名前忘れた・・・」

「忘れた?記憶消失?」

「うん、気が付いたら何も無かった。この服以外は」

男は服のポケットに手を入れると

四角い包みがある事に気づいた。

紺地にピンストライプのそれはいかにも

高級なスーツだった


「パスポートも?」

「無い」

男は上着を叩いた。

「強盗にでも会ったのかしら?」

「強盗に会った記憶はないんです」

「ねえ、ニューヨークに知り合いはいないの?

といっても無理ね」


「うん、でもシンディとモニカとケイトが頭に浮かんだ」

「うふふ、確かにシンディとモニカとケイトがいるわ」

ジャネットは車から見える三人が

写った大きな看板を指差した。


~~~~~~~

「じゃあ私が名前をつけてあげる。

ジャパニーズだからリーがいいわ」

「それって中国人だよ、しかも苗字だし」

男は日本語でつぶやいた


「ねえ、どうしてセントラルパークへ行きたかったの?」

「うん、頭の奥にセントラルパークが浮かんでいたから」

「じゃあ、明日の朝に連れて行ってあげるわ」

「ありがとう」


20分ほどでのジャネットのアパートに着くと

その部屋は大きなベッドが置いてある広い1LKで

ジャネットはいきなりリーに抱きつきキスをした

それは深く求めるように舌を入れて

グルグルとかき混ぜて二人を繋ぐ糸を引いて


「うふふ、ジャパニーズなのにキスが美味いわ」

「あのう、お腹がすきました」

「ごめんなさい」

椅子に座った前のテーブルにコーヒーを置いた。


「とりあえず飲んでいて、あっ、お酒が良かったかしら」

「いや、これでいいです」

リーはコーヒーをおいしそうに飲むと

ジャネットは冷蔵庫を開け

冷凍チキンをお皿に入れ電子レンジのスイッチを入れた

「ジャネットはどんな仕事をしているんですか?」

「昼間はニューヨーク大学の学生、演劇の勉強をしているの」


「道理で美人だと思っていました」

「夜はエスコートガールよ。学費が高いから稼がなくちゃ」

「そうですか」

「さっきの彼女はブルックという名で経済学部、将来

ウォール街で働きたいんだって」

「ごめん、顔を見なかった」

「うふふ、彼女呼ぼうか?お礼を言いたいかも」

「いや、いいですよ」

「そう」

リーはチキンを食べ終えると残りのコーヒーを飲んだ。


「美味しかったよ、ジャネット。さて、どうしようかな」

「なに?」

「まだ、頭が痛いこの辺」

リーは後頭部を抑えた

「見せて」

ジャネットがリーの頭を見ると

血の塊が着いていた


「ああ大変、血が出ている。とりあえず消毒しなきゃ」

「そうか、頭を強く打ったから記憶障害を起こしているんだ」

リーは冷静にジャネットに答えた

「病院へ行く?」

「うーん、お金もパスポートも無いからね、

明日大使館へ行ってみるよ」


「そう、それがいいわ」

リーは立ち上がって玄関へ向かった。

「何処へ行くの?」

「いや、この部屋誰か来るんでしょう。彼とかお客さんとか」

「気にしないで今夜は休みにしたし、彼氏もいないし

このまま居て」

ジャネットはリーの手を握った


「は、はい」

「その代わり私を抱いて後払いでいいから」

ジャネットはリーに抱きついた

「い、いくらですか?」

「1時間400ドルよ」

「えっ?高いですね」

「そうよ、私はハイクラスだから」

「そうですね、ジャネットは凄い美人だから高いですよね」

「うふふ、ありがとう」


「はい、ではすぐに終わりにします」

リーはジャネットに仕事を休ませた責任を感じていた

「うふふ、30分なら1000ドルよ」

「えっ?1000ドル」

「2時間なら250ドルよ?」

「あはは、3時間なら?」

リーはうれしそうに笑って返事を

するとジャネットがキスをした。


「かわいい、リーあなたの事を好きになりそう。

一緒にシャワーを浴びましょう」

「はい」

リーが服を脱ぐとジャネットの手が止まった

「あなた、何の仕事をしているの?」

「え?」


リーの太い首に盛り上がった肩から胸の筋肉

その下は8つに割れた腹筋、太い腕に太い足を見て

ジャネットは腕に抱きついた

「色々な東洋人を知っているけど

あなたのようなすごい体の人はいないわ」


「そ、そうですか」

「うふふ、その腰ならきっと凄いんでしょうね」

ジャネットは色っぽい目で舌なめずりをした


「ジャネット僕が体を洗ってあげます」

「あ、ありがとう」

リーのいきなりの言葉にジャネットは驚いて答えると

石鹸のついた手でジャネットの足から太股、ウエスト、

背中、上を向いた大きなバストまで優しくソフトに洗った

「リー気持ちいい、凄く上手ね」


「ありがとう」

「でも、かんじんな場所がまだよ」

「すみません」

リーは恥ずかしそうにして

ジャネットの股間に手を伸ばし

ほとんど残っていないやわらかい陰毛に泡をつけた


その瞬間リーの頭にフラッシュバック状態で

色々な映像が浮かんできた

「あれ?」

リーは頭を振るとジャネットが聞いた

「どうしたの?」

「ちょっと頭が」


「休んだほうがいいわ」

「いや、もう大丈夫」

「じゃあ、今度は私が」

ジャネットは泡のついた手でリーのたくましい胸を

洗うとジャネットの体は興奮していた。


「ああ、素敵リー後ろを向いて」

「はい」

リーは背中を向けるとそこに

まだ新しい傷が何箇所もあった


「何か小さな傷があるわ」

「そうですか」

「そうか、記憶が無いのね」

「まだ新しいわ、まだピンク色だから」

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