第20話 LOVE Flower


ある日の事だった。


それは、男2人の会話の内容だった。




「雪渡、単刀直入に聞くけど、雪渡は優奈ちゃんとは喧嘩友達なだけ?」


「えっ?まあ、そうですね」

「恋愛って文字は存在しない?」

「はい。全くて言って良い程」

「そっか」

「どうしてですか?」



「聞いてみただけ。二人は良く喧嘩してるけど、その間柄に恋心あったりするのかな?って」


「あー、バイト仲間で喧嘩友達であって、バカしあえる異性の友達ですよ。ただ、向こうは知りませんけど」


「そうか。確かに、それは、あるね」


「でも、オーナー、アイツの何処が良いんですか?俺に尋ねて来るって事は、アイツが気になるって事ですよね?」


「えっ?」


「アイツの良い所とか、俺、全く思い浮かばないんですけど…」


「それは、雪渡が優奈ちゃんと良く言い合ってるからだと思うよ〜。本当は真っ直ぐで素直でイイ子だよ。喧嘩腰になっちゃうのは若い証拠」


「そうですかね?」


「そうだよ」



「………………」



「遠くから見たり、様々な視界から見てると、沢山良い所あるよ〜。どお?雪渡、俺と敵対(ライバル)になってみない?」


「聞いただけと言っておきながら、俺にライバル心、剥き出しにしてどうするんですか?」


「面白そうじゃない?26歳と17歳が、一人の女の子と取り合うなんて、そうない事だよ」


「いや…だとしても俺は、アイツの事、好きとか、そういう目で見てないし、いつも言い合ってると正直喧嘩が絶えないから辞めておきます」




恋の予感…?


恋の始まり…?


それぞれの恋が花開く


ゆっくり


ゆっくりと……





それから1ヶ月が過ぎ―――6月



「6月…ジューンブライドの季節♪」と、私。


「憧れるよねーー」と、夕美。



「幸せになれるって話だし♪」


「幸せになる結婚も、お前なら不幸の結婚だよなーー。戸西優奈」



女子の会話に割って入る人影。


視線を向けると>―――




「雪渡っ!…やっぱり…」



雪渡はイタズラっぽい笑顔を向けている。




「あんたは、また人の不幸を…椎野雪渡っ!あんたは、その性格直さなきゃ一生独身もんだよ!?」


「独身。上等じゃねーかよ!」




私達は騒ぐ。




「二人って、本当、不思議と似てるよね?」と、夕美。



「似てないから!」

「似てねーから!」



私達は同時に言いシンクロした。



「息もピッタリ!」と、夕美。


「偶然だよ!偶然!」



「雪渡、奥の7番テーブルから指名だ」と、令ニさん


「はい、すぐ行きます」

「あっ!雪渡。ネクタイ歪んでるよ」

「えっ?」


「はい、OKーー!」

「サンキュー」


「新婚さんみたい」と、夕美。


「えっ?ちょっと夕美!そんな事言ったら…」



私の肩を抱き寄せ、雪渡から頬にキスされた。



「ちょっ…」

「何なら唇にしときゃ良かったかな?ハニー」

「あ、あのねーー。何言って…」

「おもしれーっ!マジ赤面のゆでタコちゃん!」



そう言うと去って行く雪渡。



「全く…アイツ、すぐ調子に乗るから、一言で、その場の雰囲気で何でもやっちゃうんだよ」


「そうなんだ」


「うん、サービス精神旺盛なのは良いけど…まあ、店のルールが色々あるけど、私には容赦なく弄ってからかって茶化してくるから…さっきみたいに」


「だからキスされちゃったんだね」

「そう」


「誰がキスしたって〜?」

「うわっ!ビックリした!オーナー、お疲れ様です」


「お疲れ様。夕美ちゃん、いらっしゃい。久しぶりだね」


「あ、はい」


「で、誰がキスしたの?」

「雪渡ですよ!」

「誰に?」

「私にです」

「唇にされちゃったの?」

「それはありません!」


「なーんだ。唇だったら面白かったのに〜」

「オーナー!」



クスクス笑うオーナー。




「優奈って、イジられキャラだね」



クスクス笑いながら夕美は言った。



「みんな私をおもちゃにするんだよ」


「愛されキャラなんでしょう?良いと思うよ〜?ねえ、夕美ちゃん」


「は、はい。そうですね」



オーナーと夕美は色々話をする。




しばらくして――――



「じゃあ、優奈。私、帰るね」て、夕美。


「あ、うん」


「夕美ちゃん、優奈ちゃんあがらせるから、一緒に帰ってもらって良いよ。待ってて」と、オーナー。


「えっ?あ、はい」



そして――――



「はい、優奈ちゃん。お疲れ様」

「はい。ありがとうございます」


「ねえ、優奈ちゃん、今、好きな人とかいたりする?」

「えっ?好きな人?いいえ。全くですけど」

「そうか。じゃあ、雪渡は喧嘩友達な感じ?」

「そうですね」


「そっか」

「どうしてですか?」

「聞いてみただけ」

「そうなんですね」


「うん。だけど優奈ちゃんに俺と出掛けて欲しいかな?」


「えっ?」


「機会があったらだけどね。考えといて。さあ、夕美ちゃん待ってるから」


「はい。お先に失礼しますします。お疲れ様です」



 私は夕美と帰る。



「ねえ、優奈」

「何?」


「…オーナー…佑史さんって…彼女とかいたりするのかな?」


「えっ?さあ?どうかな?」

「そっか…」



《だけど…オーナー…私と出かけて欲しいって…事だから…彼女いないかも…?》



「それとなく聞いてみるよ」

「うん…」



《夕美がオーナーの事聞いてくるって事は…夕美…もしかして……》





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