第14話 新規オープン

今日から開店。


成巳ちゃんを辞めさせるきっかけは証拠写真。


やり返した。


まあ、そういう言い方も悪いけど、そうでもしなきゃ彼女を、辞めさせる方法が思い浮かばなかったのだ。


一日の行動を写真に納める。


たった一日じゃ駄目なので1週間から1ヶ月位の調査をしたらしいのだ。



そんな店も内装を変え、面を変えた。


ちょっとしたゲームも出来るようになったのだ。


みんな待ち望んでいたかのように、お客さんも多く満席だった。


しばらくは続くだろう?という思いの中、忙しさの実感を改めて感じた。





ある日の事。




「ねえ、夕美。初めてって痛いって言うけど…どれくらい痛いのかな?」


「…えっ…?…いや…私も経験ないから」


「…そうだよね…夕美、彼氏いたけど色々あったからね」


「うん…」




グイッと私の肩を誰かが抱き寄せた。



「きゃあっ!」


「じゃあ、俺に抱かれてみるか?」




ドキーーッ



「わ、わ、ゆ、雪渡ぉっ!いやいや、雪渡に抱かれるなんて死んでも嫌っ!」



雪渡を押し退ける。



「死んだら意味ねーだろ!?」


「…それは…」



《…でも…あの時…あれだけ痛かったから…更に、それ以上…痛い?》



「ねえねえ、雪渡」


「何?つーか、近っ!」



そして、コソコソ話す。



「…あの時、あれだけ痛かったんだから…絶対痛いよね…?」


「…えっ…?あ、いや…し、知るかよ!」


「あんたは良くても私、本当に痛かったんだからね!」


「あれは…お互い確認したかったからのもあるし…」


「そうだけど!…つーか、何で雪渡、女の子じゃないのに、知ってるの?経験あり?」


「えっ…?」


「そういう子と付き合った事あるって事だよね?」




私を押し退ける。



「ねーよ!」


「じゃあ…試してみる?」

「えっ…!?優…奈…?いや…それは…」


「な〜んて!誰があんたなんかに捧げるかっつーの!」


「お、俺だって、こっちから断る!!」




私達は騒ぐ。




そんな私達の姿を見掛ける、令ニさんの姿があり、その姿を見掛けるオーナーの姿がある。




「令ニ」と、オーナー。

「何だ?」

「優奈ちゃんの事、気になるの?」

「えっ?」

「時々、見てるみたいだし~」

「いいや。別に特別な感情は一切ないが」


「ふ〜ん…じゃあ、どういう関係?何かあるような気がするのは気のせいかな?」


「お前の思い過ごしだ」



その場から去り始める令ニさん。



「実は妹だったりして」



ガコン…

足をぶつける令ニさん。




「…っ…」


「………………」




そのまま何事もなかったように、その場から去る令ニさん。




「たまたまのタイミングなのか、動揺したのか…反応の判断が難しいんだけど…令ニ…ポーカーフェイスだからな〜」




そんな会話があった事など知るよしもなく………







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