14_前進

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぅぅぅ!どうして、朱音、そんなこと言うの?私達、友達でしょう?」


 ダーカーは、怒り狂った表情で、紅園をにらみつけると、身体から複数の腕を生やす。


「朱音、来るぞ!」


 黒瀬は、ダーカーの身に染みるような殺意を感じて、紅園に叫んだ。


「ええ、分かってる!行きましょう。あのダーカーを倒しに」


 紅園はうなずき答えた。


「ああ」


 黒瀬が返事をすると、二人は武器を構えダーカーの元へ駆け出した。


「私と戦おうというの?許さない、許さない!!!!」


 ダーカーは、取り乱したように叫び声を上げ、身体を変形させて球体の物質を放出する。幾数いくすうもの球体が、命を奪い取ろうと無感情に襲いかかってくる。


 球体が接近するが、黒瀬たちは、構わずダーカーへ駆け抜ける。


「この球体、爆発するわよ。爆発する前に、切断する必要がある」

 

 紅園は、黒瀬を心配し言った。


「大丈夫」


 黒瀬は、落ち着いた口調でそう一言答えた。


「えっ……」 


 すると、まわりに飛び交っていた漆黒しっこくの球体が一斉に切断され、地面に落下すると影に溶け込む。


「もう全部、切ったから」

 

「やるわね 見直したわ。私達なら、あのダーカーを倒せる」 


 紅園は、少し悲しげの表情で変わり果てた出雲の姿を見る。 


「ぐぬぬぬぬぬ!!!私の攻撃が……簡単に。どうして、どうして。ほしい、お前たちの魂が」


 ダーカーの身体に生える出雲は、目を四方八方にしきりに動かす。出雲の異変に、危険を感じ、黒瀬たちは立ち止まった。


 まずい、何か来る。とてつもないが……。

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