死因

「高橋が殺されたとしたら19時以降だ。俺らは19時少し前までは会っていたからな。犯行時刻は19時から午前3時までの間ってことだ。」

「あの、さっき出血はなかったっておっしゃってましたけど、死因はなんなんですかね。」

東條が訪ねる。

「湯船で死んでたんだから溺死じゃないんですか?」

また佐藤が口を挟んだ。

「いや溺死の死体は水には浮かないです。俺推理小説よく読んでるんでそこら辺は少しは詳しいです。おそらく別の方法で殺害された後湯船に浮かべられたんじゃないですかね。出血が無いとなると考えられる殺害方法は毒殺とか…?」

こう答えたのは赤城くんだ。

「じゃあ犯人は男性ですよね。だって男湯で殺されてたんだから。女性が来たら驚いて騒ぎになったり、警戒してすぐ逃げますよね。」

佐藤がまた訪ねる。

「いや。その元々脅した犯人が男湯に呼び出したんだとしたら女性にも犯行可能だと思います。」

赤城くんがまた答えた。


「毒殺って怖いですね。なんか迂闊に食べ物口にできない…。」

橘がそう言った。

「たしかに…。ですが、まだ俺は可能性があると思っただけで、本当に毒殺かはわかりません。塩見さん、服を脱がせて傷があるか見たりはしてないですよね。」

「ええ。してないですよ。」


「もし皆さんがそれで安心できるようでしたら、何人か遺体を見れる方で傷があるか見てみませんか。」

「俺は構わないけど。」

塩見は死因を確認することに賛成のようだ。


「私も協力して構いません。」

「自分も。」

飯田と東條もそれに答える。


「では男性チームで見てきましょうか。ですが、ここに男性がいなくなるのも何かあった時怖いので、管理人さんはここに残っていてもらえますか。」

「ええ。構いませんよ。」


その後男性陣で2階に遺体を確認しに行った。

女性陣と管理人はその場に沈黙が流れる。

誰も喋ろうとする者はいない。しかし大分全員疲れているのが見て取れる。正直私も少し眠い。


ただあまり寝るわけにも行かず、携帯も使えず暇つぶしもできないので、みんなただ男性陣の帰りを待つしかなかった。


「ダメです。どこにも傷跡はなかったです。感電死の可能性もあるかと思って何処かにそういう傷もないか確認したんですが、見当たりませんね。強いて言うなら死斑?というやつは出ていました。」

「彼は毒殺されたってことね。」

佐藤がそう呟いた。

「おそらくは…。管理人さん、お風呂場に飲みかけのペットボトルか、何か食べかけの食べ物が置いてあったりしませんでしたか。」

「いえ、そこまではまだ見れてないですね…。」

「良かったら私と一緒に確認しに行ってもらえませんか。」

「はぁ、わかりました。」

「それ俺も行きます。」

こうして赤城くんと管理人、塩見の3人で毒物の確認をしに行った。


帰ってきた彼の手にはタオルに包まれた飲み掛けのペットボトルがあった。中身は水の様だ。


「おそらくこれが落ちていたのでこれに毒が入っていたのかと。男性の方どなたかで自分のものだと言う方はいますか。」

そう赤城くんが尋ねたが、全員が違うと答えた。


「これで毒殺で決まりですね。」

私はそう言った。

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