四日目のきっぷ

小田原

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 四日目は、沼津港で新鮮な魚介類の朝食だ。朝早くからやってる店があるから大丈夫。沼津港に行くにはレンタサイクルが便利だぞ。

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 焼きたてのオムレツは最高だ。奮発してちょっといいホテルに泊まったかいがあった。作り置きではなく、オムレツカウンターで注文するとシェフが目の前で調理してくれる。私のリクエストはチーズを入れたチーズオムレツ。フレッシュなオレンジジュースと合わせて、ホテルならではの贅沢だ。


 小田原宿泊は正解だった。昨日は駅前の店で箱根の水で作った地ビールを飲みながら名物の蒲鉾を食べて舌鼓を打ち、ホテルの大浴場は箱根の湯を毎日タンクローリーで運んでくるという贅沢なもの。やっぱり、旅行はこうでなくちゃ。”あいつ”は”あいつ”、私は私、一人旅なのだから自分の好みが最優先だ。


 朝食は軽めにとって、荷物は置いたまま朝の小田原城へと歩いて行く。多少高くても、駅前のホテルをとる利点だ。ホテルから小田原城まで10分ほどで学橋まなびばしが見えるが、正門入り口の馬出門土橋うまだしもんどばしまで歩く。幅広の堀に架かる赤い橋で、桜のピンクと良く似合う。橋を渡った先にある小田原城に入るための最初の門が馬出門だ。石垣と真っ白な壁のコントラストが美しい。門前の広場には、お堀に枝が張り出すように満開の桜が植えらている。


 馬出門をくぐると馬屋曲輪うまやくるわだ。ここには観光案内所があるがまだ開いていない。


 馬屋曲輪から住吉橋を渡りあかがね門をくぐると二の丸広場に出る。ここにはNINJA館という観光客向けの忍者体験ができる施設がある。本丸には行くには朱色に彩られた常盤木橋ときわぎばしを渡る。6月に花菖蒲が咲くと絶好の写真スポットだ。そして、重厚な常盤木門ときわぎもんをくぐると本丸広場だ。本丸を守る最後の砦に相応しく、ひときわ大きく頑丈な造りとなっている。


 そして、眼前に現れる天守閣。現在の天守閣は江戸時代の模型を元に再建されたもので、徳川時代に作られた城を再現しているので白い城だ。どことなく細部の意匠がモダンな感じがするのは近年になって再建されたせいなのだろうか。本丸広場に植えられたソメイヨシノは心持ち色が濃く、あでやかなピンクに染まっている。昨日の雨でも散ることなく満開の桜が、天守閣をより一層美しく見せている。


 早朝の小田原城は天守閣には登れないが、まだ観光客もそれほどおらず、雄大な空間を独り占めだ。今日は昨日とは打って変わって絶好の花見日和なので、昼過ぎには相当の人出となるだろう。


 青い空と、真っ白の天守閣、そしてピンクの桜。フランス国旗のようなトリコロールが美しい。甲冑や着物の貸し出しもしているので、日中になれば着飾った子どもたちで、さらに色彩豊かに賑わうだろう。


 これで今回の旅の城巡りはお終いだ。名古屋城、浜松城、掛川城と、小田原城。どの城も美しく、満開の桜に彩られていた。武田城跡の舞鶴城公園からは見事な富士山を見ることもできた。


 小田原城を一時間ほど散策し、ホテルをチェックアウトした私は、次の目的地へ向かった。


 

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