虹と復活
虹は死んだ
私の一部を持って黄昏の空を飛んでいく鳥たちを今日も見送ったのちに、やがては私の鎖は綻びをみせ、遂に解放された。
私は不死身故にすぐさま抉られていた肉体は再生した。
宇宙に光の孔が開く。
そこから何かが堕ちてくる。
この磔刑場に降りたったのは女だった。
「虹は死んだのよ。貴方の信じた人間によって。だから開放されたのよ。そしてわたしも片道切符でここにきた。」
そう言ってこちらをまっすぐに見つめた。
私も視線を合わせようと顔を上げた。
彼女の顔は美しかったが、何よりも空の方に目がいってしまった。
いつの間に、空は原初の地球のようで気は轟々となり、マグマの海へと雷の雨が降り注いでいる。あの廻る青い空の面影はなく、広がるのは嘆きの灰色。
世界は逆行へと突き進んでいる。
「虹はこの世の楔だった。でも、貴方の信じた人間はあえて壊したのよ。自然の法という神を殺すために」
女は説明しながら山脈の先を見た。
そのままこちらを振り返らない。
私は、私は…
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