最終話−1
スマホのロック画面からポップが出てきたかと思えば、頭のおかしなウイルスに感染したようだ。
何かの作業を俺になすりつけたらしい文面に眉を潜める。そもそも涼宮なんたらってなんだよ。
携帯ショップに持っていくしかないやつだなぁと鬱陶しく思いながら画面と睨めっこである。
「おーっす!白石元気かー!」
肩をパンッと威勢よく叩く奴がいた。
あっ!
手から滑らかーにすべったケイ素の塊は隅々までシャターかつ粉々にスマッシュした。
おいおいおいおいおい…
しゃがんでスマッシュ(された)フォンの状態を確認し、振り返ってみれば案の定、悪魔のトラブル製造機こと月宮あやかが無邪気な笑顔を浮かべて立っていた。
こっちの不機嫌そうな顔のさらに先にある状況を見て察したのか、申し訳なさそうな顔に変幻した。
「うわ…もしかして私、やっちゃった?ごめん…」
もしかしなくてもそうだ。俺はあえて無視をして、亡骸と共に歩き始めた。
「べ、弁償するから、さ?」
結構です。お断りします。その罪悪感を背負ってこれからを生きてゆけ。
つーか遅刻しそうなんだよなぁ。と、しみじみ思える時間もなかったので奴から逃げるようにダッシュした。
「あ、ちょっと待って!ねえ、ごめんって言ってるでしょーッ!」
走って追いかけてくる。やめろやめろ。
じわじわ距離が詰まって詰まって…
800m県内2位の実力を持つ月宮を恨みに恨んで並木道を走ること数十秒。
ほぼ並走かつチャイムギリギリでの完走である。
「お前ら、危ないなぁ。それにしても、いっつも仲が良くて微笑ましい」
“誰がこいつと!”
憎たらしいほどにタイミングもぴったりだ。
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