第28話

飛行機の機内ですみれとアン子は爆睡していた。相当疲れたのだろう。


俺は起きていたので、機内食を食べたが味気なく感じた。


窓を見ても真っ暗で何も見えない。俺も寝ようかなと思っていた時、


「間もなく成田空港へ到着します。シートベルトを…」


もう着いたのか。思ってた以上に早い。


俺はすみれとアン子を起こした。


「もうすぐ到着だぞ」


「ふぇ…そうなの?」


「ううんなん…」


飛行機を降りた3人は、パスポートを提出して、検査済みのバッグを引きずりながら護衛に、これ持っていきなさいという感じで大き目のバッグを渡した。


「はあぁ疲れたわねぇ」


「家に帰って2度寝するん」


俺はお土産を買うのを忘れてしまった。これは痛い。急いで飛行機に乗り込んだからだ。


すみれはタクシーチケットを渡して、

「タクシーでそれぞれ家まで行きなさい…」

そういっていの一番に護衛車に乗って去ってしまった。俺たちもせっかくだしタクシーチケットを使い、直帰で家に戻った。

俺はすがすがしい気持ちでいっぱいだった。土産話も充分『土産』だろう。

夜のタクシーでそんな事を考えながら、思わずにやついてしまった。

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