12話 カリオとカウン

 久しぶりにここに来たな……。

 

 そう思いながら歩いていくと、


「追放者がなんの様だ!」

「久しいな、カウンの腰巾着……」

「なにを!?」

「カウンを出せ」

「お前如き、この俺が……」

 

 声はそこまでだった。

 魔法を放ったから、拘束魔法 筋縛きんばくで彼は体の筋肉が硬直したから。


「僕をどうするって?」


 首を持ち、魔法を解くと、暴れ出す。


「暴れると締まるぞ?」


 力を加えると、男の呻き声が聞こえる。

 やがて彼の意識が飛んだ。


「……うむ、気を失ったか……」


 回復魔法をかける。

 

「起きろ!」

 

 壁に叩きつけ、男は目を覚ます。


「聞きたいことがあるんだけど……」

「誰が貴様なんぞに!」

「ふーん、じゃあこれはどうかな?」


 僕が首元に触れると、男は苦しみ出す。

 

「こんなことしても死んでも吐かん!」

「ふーん、じゃあ苦しみ続ければ?」

「へ?」


 僕は回復魔法をかける。

 しかし、解毒をしていないので苦しみ出す。

 それを繰り返す。


「まぁ、答えたくなったら答えてよ……質問はカウンは何故こんなことをするのかとお前は誰を陵辱したの? 答えるまで魔法は解きませ〜ん」


 冷たい声でそう言うと、泣き喚きながら僕に罵詈雑言を浴びせてくる。

 僕は回復魔法をギリギリの所でかける。

 やがて彼は全て吐いた。


 カウンは、ベレッタのことを手に入れようとしている様だ。

 そして、侵攻という名目でそこにいる僕を殺し、ベレッタを我が者にしたいとのことだった。


「下らない、そんな事であいつは……」

「な、なぁ……ちゃんと言ったんだから命だけは……」

「あぁ、今楽にしてやる……」


 僕は手に魔力を込め、彼の胸に当てる。


「これで、俺は助か……ぁ……」


 瞬間彼は爆散した。

 解毒魔法ではなく、火魔法の爆散を放ったから。


「ちゃんと楽にしてやったぞ……」


 僕は聞こえてないであろう亡骸にそう言うと、カウンのまつ魔王の間へ向かった。


 

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