第25話 仕事は普通じゃない その2

 社長室に入り少しすると部屋の扉がノックされる。


「どうぞ」

「失礼します」


 ガチャりと扉は開かれ、現れた控えめそうな見た目の黒髪少女だ。

 この部屋には俺と嫁以外秘書の恵那しかいない。


「よく来てくれたわね、グレースの言う通りかわいい子ね」

「いえいえ...でも、ありがとうございます」

「説明は受けてるわよね」

「はい、実際にアップデートで適応されるバージョンで挑んでみるという事ですよね、頑張ります」


 さっそく少女とゲーム機を接続する。

 ダイブ型のゲームは脳と直接連動しているので、ゲーム機器の本体さえあれば、生体認証で全体のサーバーから自分のキャラクターと接続される。


 ゲーム画面をモニターに映しだす。

 生体認証というなのログインが完了する。


「この子って...」

「間違いない、カウガールだ」


 DMMORPGグレースド・オンライン。発売から10年経った今でもゲームランキングでは常に不動の1位。幅広いやりこみ要素に初心者から上級者まで遊びやすいゲーム難度、他社のゲームが5段階ほどで分けられているのに対し、このゲームでは脅威の100段階。

 開発段階ではそんなにいらないと言った声が多数上がったが、発売後、プレイヤ―達から絶賛の声が多数上がり、今では他社も真似している。

 だが、他社に真似できない事、それは、このゲーム機の開発だ。

 精神と接続させる以上、並大抵の技術で出来ることではない、それに、このゲームと似たような内容のゲームを作ろうとすると、現代の技術では最大容量が足らず開発すら真面に出来ないのだ。

 そんな、大ヒットゲームグレースド・オンラインにはリリース当初のイベントなどで、常に頂点に君臨するプレイヤーが存在した。

 カウボーイハットを深く被りその両手にはリボルバー、ありとあらゆる銃器を使いこなしその地位を不動のものとしたプレイヤー。

 ネット上で勝つことは不可能とまで言われたまさに伝説のプレイヤー、それが...カウガール。


 まさかその中身がこんな幼気な少女だったなんて...。

 レベルは1300

 ステータスのどれもが高水準で並大抵のプレイヤーでは傷は疎か目で追う事すら出来ないであろう。

 本来のレベル上限は100、そこにイベントのランキング報酬としてレベル上限解放アイテムが報酬として配られる。10位には1レベル分のアイテム、1位には10レベル分のアイテムが配られる。

 毎月一度だけ集計が行われるプレイヤー同士のランキングバトル。1年で最大でも120しか上がらない...そしてこのカウガールはと言うと...リリースから通して常に1位を取り続けている、いわば廃人プレイヤーだ。

 それに、レベル100以上はレベルごとの経験値必要量が格段に高く必要とされている。それも1000レべを超えるとなると想像を絶する。

 まさに伝説。神とまで称されたプレイヤーだ。






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