第17話 子供の日が普通じゃない!その4

 羽毛の主は天使様だった。

 桃色の髪を後ろで編み込み、露出度の高い服装だ。童話に出てくる天使の様に白い布切れで隠したい所だけを隠した様なほぼ見えてる衣装だ。

 目のやり場に困る服装だが、一番困るのはその豊満な胸だ。

 それに若干ではあるが、エミールさんに似てなくもない?それに振り向き様に笑ったその顔に一瞬ではあるが嫁の笑顔がチラついた。


「あらあら?キャンディーが台無しですね。はい。これで元通り♪」

「ゼルセラちゃますごーい!!」


 羽毛だらけのキャンディーは一瞬で新品の様に綺麗な状態に戻る。さすが天使...慈愛に満ちたその表情に俺はときめきつつあった。


「たしか...健太さんでしたね。懇親会はどうですか?」

「えっと...」

「あぁ私、全フリューゲルの統括、及び黄金卿の領主、またの名を死ヲ齎ス天使、熾天使ゼルセラです。以後お見知りおきを」

「えっと...ゼルセラ...様...よろしくおねがいします」

「フフッ敬称はいりませんよ」


 微笑む姿に老いた心臓が踊り出す。これは...男心を刺激されているのか?

 軽く挨拶をし俺は逃げる様にその場を後にした。


 俺が逃げ出した後、嫁も世間話が終わったのか俺の元に合流した。


「どうしたの?なんか他所他所しいけど」

「ゼルセラって人はやばいな...不思議な気持ちだ...」

「ふーん♪」


 何故か嬉しそうな嫁はさておき、次の挨拶は最初に言い合いをしていた角の生えている女性だ。

 空色の髪を掻き分け生える白磁の角、明らかに人では無いが、表情からは人柄の良さを感じる。すべてを見透かしそうな黄金の瞳。そしてその背中には大きな刀が握られている。それにこの服装はどう見ても着物だ。

 青を基調とした着物を見事に着こなしている。


「おっ?!あやかではないか!今年は来たのだな」

「うん、田舎に引っ越したからね。仕事も落ち着いたし」

「そうかそうか。我輩もなのだ。仕事もひと段落したから我輩も娘の鍛錬に付き合ってあげられるのだ」

「アブソリュートは元気?」

「ん?元気なのだ!アブソ!!」


 角の女性が名前を呼ぶと娘らしき女の子がトコトコとこちらに近寄って来る、母親に似ていて、空色の髪に黄金の瞳を宿している。

 特徴的なのは左目の眼帯だろうか。その若さで左目を失うなんてかわいそうに...。


「呼んだか母よ。我は新たにできた朋友と児戯に勤しんでいたというのに」

「ほらな?しっかりと元気なのだ。何を言ってるかわからないけど、元気には元気なのだ」

「そ、そうなんですね~」

「母よ。母には深淵から我を呼ぶ声が聞こえないのか?我が意志に答えよと我が心中に響くのだ。それではさらばだ、母よ。我はまだ、新たなる朋友との茶会が終わって無いのでな」


 なんとなく何を言ってるかわかる気もするが...簡単に訳すと...「新しく出来た友達とまだ遊びたいからじゃあね」って感じだろうか...。

 中二病...まだかわいい方だが...だいぶこじらせている様だ...同じ道を歩んだ身として将来が不安になる...。

でも、度合いが普通じゃないんだよなぁ...。

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