1億2千万の流れ旅・最終回

 10ヶ月前も今日みたいな快晴だった。

「朱美ちゃーん、置いてかないでタコー」

「気安く呼びかけるんじゃない! 火星人!」

「僕はカー星人だって何度言えば解るタコー」

 トーストくわえて走るあたしをカー星人の

第3王子は追いかけた。あんな沢山ある足が

もつれずに走れるのは今も不思議だ。

「せっかくの授業再開タコ。恋人同士は一緒

に仲良く登校だタコー」

「誰が恋人同士だ! あたしはジャニーズ系

男子以外、お断りって言ってんでしょ!」

「つれなくするとまた超次元炉を暴走させる

タコー。今度は地球丸ごと転移タコよー」

 王子の脅しを無視して走る。カー星の王家

母船が機能停止しちゃったのは周知の事実。

 炉にとどめをさしたのは、実はあたしだし。

 正門前の坂を駆けてのぼれば、今日の週番

が現れた。カー星人と地球人が1人ずつ。

 もう動かない母船が新しい校舎。わがまま

王子も級友に、新しい日常がやっと始まる。

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