教え子に突然告白された女性教師の気持ちを答えなさい

【シチュエーション説明】

登場人物:高校教師(女性)二十代後半

職に就いてからそれなりのキャリア

放課後の教室、男子生徒と二人きりで補習授業を行っている


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いい?

何度も言うけど、合格点取るまで、放課後は毎週居残りテストだから。

嫌だったらしっかり勉強しなさい。

私は他の先生と違って甘くないから。



(女性教師、今までを振り返る)



今日で一か月……この子はいつまで補習を続けるつもり?


他の教科はすべて九十点台後半。

国語だけ赤点取るほど苦手とは思えない。

去年の国語の成績を調べたけど、例に漏れずほぼ満点だった。


授業態度はいたって真面目。

陸上部では短距離走のエース。

課外活動にも積極的に参加して、学校の評価は高い。

顔は雑誌モデルみたいに整ってるし、おまけに両親は揃って弁護士なんて、人生勝ち組決定じゃないの。


それに比べて私なんて、取りえもないし、毎日残業ばっかりだし、友達はどんどん結婚するし……信じてたのに……同じアラサーだったのに……。


幸せアピールの報告なんていらない。

「いい出会いがある」とか上辺だけ。

みんなで私を憐れんで、優越感に浸ってるだけ。


この子だってどうせ……!



(テストを受けている男子生徒に)



もしかしてキミ、わざと間違えてない?

本当は答え分かってるんじゃないの?



(男子生徒に「ごめんなさい」と言われる)



……やっぱり。


ねえ、私のことからかってるの?

こんなことして楽しい?

楽しいでしょうね、私みたいな女をからかって。


なによ……みんな私のこと馬鹿にして……。


……違う? 何が違うのよ!



(突然「先生のことが好きなんです」と告白される)



……好き?

え、私のことが? 好き?

えっ? ちょ、ちょっと待って、なんで、急に……?



(一緒にいたいからわざとやったと白状される)



……それじゃあ、赤点や補習の不合格も全部、二人っきりになるためだったの?


ふざけないで!

なんで、私なんか……。



(「先生は色眼鏡をかけずに接してくれるから」と説明される)



当たり前でしょう!

家柄とか関係ない、私はキミ自身と向きあってるの。

他の先生は知らないけど、私はひいきなんてしないから。

駄目なものは駄目と伝えるし、間違っている部分はきちんと指導します。


そういうとこ……? どういうとこよ?


(「つき合ってくれますか?」返事を求められる)



つっ……付き合うとかだっ、駄目に決まってるでしょ!? 先生と生徒よ!

歳だっていっぱい離れてるし、そんなの知れたら学校にいられなくなっちゃう……。



(「本気です。一生大切にします。結婚したいと思ってます」と告白される)



け、けけけ結婚!? なんでそこまで飛ぶの!?



(「つき合ってる人いるんですか?」男子生徒が席を立ち、女性教師に迫る)



ちょっと……やだ……近づかないで……。


彼氏なんているわけないでしょ……。

そうよ。お付き合いしたこともないわ。

しょうがないじゃない。

どうせ私、綺麗でも可愛くもないし、頭固くてつまんないってよく言われるし……。



(「じゃあ初めての男ですね」と言われる)



初めての男とか、どこでそんな言葉覚えるの?

最近の高校生って過激……。


本気って言われても、信じられるわけないでしょ。



(「どうしたらつき合ってくれますか?」と質問される)



どうしたらもこうしたらも……なら次の中間テスト、全教科百点取ったら信じてあげる。

本気なら、それくらいできるよね?


無理なら無理でいいわ。

今日のこと忘れてあげるから。

もう私のこと、からかわないで。



(「分かりました」男子生徒は鞄を持って教室を出ていく)



はぁ……びっくりした。

まだドキドキしてる。

まったくもう……あ、テスト……。


なによ、全部書き終わってるじゃない。


……完璧な模範解答。やればできるじゃない。

嫌がらせにつき合うのもこれで終わりね。


今日のことは……忘れなきゃ。



(数週間後。男子生徒に呼ばれて補習していた空き教室に入る)



先生を呼びつけるとか信じられない。


分かってる。

まさか本当に全教科満点取るなんて……学校初の快挙よ。

もうこの教室で補習することもないわ。


それで……ほんとに、本気なの?

私とつき合いたいとか……。


キミ、すごく人気あるんでしょ?

若くてかわいい子からたくさん告白されてるんじゃないの。



(「先生は嫌ですか、つき合うの」と質問される)



わ、私?

私は……別にキミのこと、嫌いじゃないけど……。


「ならオッケー」じゃなくて!


その、初めてお付き合いする人が歳の離れた高校生とか……しかも教え子だし……。

そういう経験ないから、分かんないことばっかりだし……嫌われるの怖いし……。


かわいい!? こっちは真剣に悩んでるの! もう!


本当に分かってるの?

先生と生徒がおつき合いするって、いろいろ大変だよ。

年上に期待してること、なんにもできないよ。


リードするって……それにきっと私、めんどくさい女だと思う。

後悔するかもしれないよ。


それでも……いいの?



(気持ちは変わらないと伝えられる)



……うん、分かった。

それじゃあ……お願いします。

おつき合い、してください。


何で笑うの!? 気持ちは言葉にしなきゃ伝わらないでしょ!


はぁ……人の気持ちを想像するのは、テストだけで充分。

そもそも私、好きじゃないの。そういう問題。


だって正解なんて、書いた本人に聞かなきゃ分からないじゃない?

それを他人が都合よく解釈して、合ってるだの間違ってるだの。

不確かなことに振り回されて、すごく面倒。


私は勝手に想像して悩むタイプだから、確かな答えが欲しいし、私自身もはっきり言葉にして伝えたい。


文字だけじゃ不安になんだ。


……国語教師の発言じゃないよね。

ほら、こういうとこ面倒でしょ。それでも本当に——



(男子生徒、突然抱き締めてきて「好きです」と繰り返す)



きゃっ! なに、急に抱き着いてきて……。

わ、分かったから! 分かったから、好きって連発しないで!

恥ずかしいよ……。


ここじゃ私が先生だけど……学校を出たら、いろんなこと、いっぱい教えてね。


【終】

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