第6話
そして、そいつは俺に自己紹介をしなかった。
滅茶苦茶ぶすっとしている。
いやぁまあ、無愛想でも憎たらしいほどに顔が整っているから美人ではあるんだが、
いかんせん、愛想笑いのひとつもしない女だった。
名前はトウコ。冬の子と書くんだと。
それも本人の口から聞いたわけでなし、
一番うっさいギャルのハルがペラペラしゃべって教えてくれた。
なんでも、無口で無愛想なのは、
中学時代いじめに遭ったみたいで、他人に対して心を閉ざしているんだと。なんか容姿や頭の良さを妬まれたのではないか、と噂で聞いたとも話してくれた。
で、トウコは中学時代はほとんど不登校だったみたいで、勉強遅れ気味になり、仕方なくギャルばかりな底辺校に在籍してるって話だ。
トウコがトイレに立った際になんとなくの経緯は聞いた。俺が尋ねるより先に、
周りのギャル三人プラス俺の妹がべらべら話して聞かせた、それだけのこと。
今はまぁ、トウコも昔よりは人とも触れ合うようになったらしいんだが、なんつーの、
氷姫ってことばがしっくりくるような
雪の様に白い肌とリップグロスをぬらんでも真っ赤に染まってる唇が印象的な女だった。
トウコのやつは。
ただ、3つ言えることは四人ギャルのなかでは一番おとなしく、一番礼儀ただしく、一番、俺の好みの女ではあった。
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