死に際の呪い

可燃性

死に際の呪い

 体は既に冷たく。

 死がそこまで来ていることに、彼は気付いているのだろう。

 ようやっと開いた目が私を見据え、そして息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。


「……き、みの……」

「……え?」

「……えが、おが……みた、かった……」

「……!!」


 そう乞われて私は今更になって気付く。

 わからないと曖昧にしていた自分の気持ちに。


「……っ、ふ、ぅう……」

「……な、くな……」


 慰めるように笑ったのは彼の方で、私はみっともなく泣いていた。

 最期の願いすら私は叶えてやれないのに。


 あなたはどうして。

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死に際の呪い 可燃性 @nekotea_tsk

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