姫と魔女の攻略法

如月

断絶姫

僕はこの物語の主人公である影野望。どこにでもいる普通の大学一年生である。

いや、大学一年生であった。まさか僕みたいな普通の人間があんなことを

やってのけるとは思っていなかった。

今から僕が話すことは嘘のようで実は本当の話である。

あれは遡ること三年前。僕が高校生一年生の二学期に始まった。

たしかあの日は大雨だった。


僕は第一志望の高校である私立清明学園に合格した。

私立清明学園は少し特殊な学校である。

それは私服で来てもいいということだ。でも陰キャである僕は学校が始まって

ずっと制服のままだ。おっと僕の説明はまた後でだ。それよりも

この学校には二大美女というものが存在する。

二大美女とは同級生かつ同じクラスである「如月凛」と一つ上の先輩である

「佐倉彩香」のことである。容姿、頭脳、スポーツすべてに対して優秀。

しかし彼女たちには少しいやとても嫌な性格を持っている。

如月凛、彼女の異名は『断絶姫』。

そして佐倉彩香、彼女の異名は『強欲魔女』である。

入学当時、まさか僕いや皆が「断絶姫」があのようなことを言うとは

思いもしなかった。


―入学式当日―

今までの入試で初めて満点を取った如月凛による新入生挨拶が始まった。

しかしそれはとても初々しく高校生らしい挨拶ではなかった。

大人顔負けの文章力そしてみんなの心をつかむような優しい声。

ここまではよかった。なぜなら彼女は最後にこう言い放ったからだ。


「最後になりますが私には一つの言いたいことがあります。

 それは女こそが正義だということです。」


彼女は優しそうな声のトーンから恐ろしいトーンの声で言った。

瞬間その場にいた人全員が状況を理解できずに唖然と目を大きくして

呼吸音も聞こえないくらい静かになった。

そのあと意識を取り戻した校長先生が式を進め何事もなく終わった。

いや何事もなく終わったのではなく誰も動くことが出来なかったから

何事もなかったのだ。


―入学式から一か月後―


美しい白銀の髪。大きな碧玉の瞳。雪のように白く、滑らかな肌。

廊下を歩けば、誰もが振り向くであろうその前向きで端正な姿の少女が

扉を開け教室に入った。

瞬間、教室にいたすべての人がその容姿に見惚れ静寂が訪れた。だけではない、

少女そう如月凛の机の前に一人の男が立っていた。

男はいかにも自己中心的で顔はいい(悔しい)がチャラそうな服装をしている。そして男は


「今週の日曜日俺と遊ぼうぜ。」


下品な眼差しで「断絶姫」を見てそう言った。しかし彼女は何事もなかったように

そのまま自分に席に行った。だがそう容易に通してもらえるはずがない。

男は進もうとする「断絶姫」を左手を出し、遮った。やっと男の存在に気付いた

姫様は0.1秒で状況を理解し、


「失せろクズ。」


入学式で発した声のトーンよりも低くその言葉が放たれた。

それにより男は後ろにたじろきそのまま去っていた。

ここでなぜ如月凛が『断絶姫』と呼ばれているのか説明しよう。

入学式の次の日多くの人が彼女のもとに訪れた。彼女は笑顔でみんなと話していた

みんないや女子だけにだ。入学式からだいたい3週間

彼女の持つ雰囲気と周りにいる女子達のせいで男子達は近づくこと

すら出来なかったしかし時間が経つにつれてクラスに皆がなじみ、

数多くの男子が彼女にしゃべりかけるようになった。

しかし彼女は男子には誰一人として返答、

異論反論抗議質問ですらしなかった。当時は平凡な男子には興味がないと

思われていたが学園内外にいるイケメンの男子から誘いですら

無視をし続けた。それから今日のこの日まで女子には優しく、

男子には冷たくいや無視をしている。

故に『断絶姫』と呼ばれている。しかしなぜ彼女が男子にあんなにも

冷酷なのかは誰も知らない。

このような対応をしてるので男女から嫌われているのではないかと

思いきや実は男女からはとても人気である。

なぜなら、女子には年齢、性格、容姿が違っても誰にでも優しく

接するからである。そしてなぜ男子に人気であるかはただただ男子が

単純であるからだ。ある一人が「そこも如月さんのいいところだよね。」

と言いと波紋のようにたちまち多くの男子が納得してしまった。







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