20歳、趣味との出会い-2

「…はぁ…はぁっ…」


 ゲームだけで、なんでこんなに息切れてんだか…自分でも訳が分からないまま、何とか最高難度の曲を終わらせた俺は、ゼェゼェと息をあげていた。


「…えええっ?!まじかよぉぉ〜っ!!」


「ああっ…?!何が?!」


「やっぱ兄ちゃんには、敵わねぇなぁ…」


「…はっ?だから、なんで??!」


「だってさ、クリアしてんじゃん…」


「…ぬおっ?!ほんとだっ!!」


 なんやら初めてプレイしたのに、あははっ…クリアしちゃったみたいで…まぁ、音ゲー自体はやってたからなの…かな?


 1曲目でめちゃくちゃハードだったのに、弟の話によると100円で4曲出来るらしい…こんなにぜぃゼィしてんのに、あと3曲出来るとか、ただの鬼畜かよ…


 そんな事を思いながらも俺は、好きな曲をトライしてみることにしたんだ。


(…ふんふん、そういう事か…♪)

(…はっ?!!そんな風に光るか、おい!)

(な、なんだ、これ…面白いな!!)


 たった100円で、クリア出来た時の達成感と面白さに俺の心は、ガッツリと鷲掴みにされていたんだ。


「…ちょっと、続けてみるかな…?」


「兄ちゃんなら、すぐ上手くなるんじゃね?」


「お前には負けられんからな?」


「く、くそっ…俺も続けてやるぅ!!!」


 そんな兄弟の話が終わる頃、ほんっとナイスタイミングで柚たちが戻ってきて、俺に出来上がったプリクラをくれたんだ。


「あれ?しょうくん、こんにちわ!遊びに来てたんだね?」

 柚も弟のしょうも顔見知りで、お互い挨拶をその場で交わし


「将、遅くならんで帰れよ〜?母さん心配するからな、」

「はいはぁ〜いっ!♪」


 俺も将に一声かけて俺たちは、ゲーセンを後にすることにしたんだ。


(あ…そうだ…!あいつにも声かけてみるかな?)


 ◇ ◇


「家まで送ってくれてありがとう!またね!」

「おう、なんかあったらまた連絡するわ〜」


 柚を家まで送り届け、俺も自宅への帰路に就いた。

 一人暮らしに憧れていた俺は、19歳の時に家を出てなんやかんや自由に日々を送っている。


 そうだ、相棒にメールしてみっか…俺は、徐に携帯を手に取りメールを飛ばした。


《今何してた?》


《ボーっとしてた、なした??》


 俺がメールをしたのはあい

 俺が人生で1度だけ、本気で好きになった女性だ。

 高校時代に知り合い、どんどん仲良くなっていって…高校時代は、恋人として付き合ってもいたんだ。


 だけど…高校時代にも男が好きだという事を誰にも言えなくて…自分の気持ちを隠して生活していた中で愛に出会い、俺はに出会った。


 本当に愛のことが大好きだった…


 けれど…社会人になり、自分の気持ちにも少し余裕が出来た頃、自分の気持ちにをつく事がもう…限界だったんだ…。


 男が好きな事に変わりはない…やっぱり、俺はゲイなんだ…

 幼なじみの柚と大好きだった愛には、本音で自分の思いを伝えたんだ…。


 愛には、本当に申し訳ないことをしてしまった…男が好きなやつと恋を育ませてしまったことに…


 それなのに愛は

「どんな形であれ、私は傑の味方だよ?…ずっとだから、心配すんなっ!」


 と別れた今でも俺を心から支えてくれている…自分の気持ちに寄り添ってくれる人が1人でも…2人でも…いてくれた事で、俺の気持ちも救われて今に至っているのかもしれない…


 そして何より、前向きに色々な事を考えることが、少しでも出来ていたのかもしれない…


 感謝してもしきれない…そんな大切な俺の相棒、それが愛なんだ…!


《えへへっ!俺さ!めっちゃ面白い音ゲー見つけたわ!》


《えっ!?まじ?!なんてやつ?!》


 音ゲーを始めるきっかけをくれたのも、実は愛だったんだ。

 昔からやっていた音ゲーを俺にも教えてくれて、負けん気が強すぎる俺に、愛は火をつけた。


 絶対、愛に追いつく!!負けねぇぞ!


 そんなこんなで2人で切磋琢磨し合いながら、暇を見つけては2人で、ゲーセン行ったっけな…


《jubeatっていう音ゲー!》


《えっ…傑…マジで言ってる?》


《ん?なんで?》


《はぁ…最近、一緒にやろ〜って誘ったやん?んで〜その時、興味な〜い!なんて言ってたやん》


《…あ…ごめん…》


《どーせまた誰かに火付けられたんでしょ?》


(ドッキーン!!!こいつ…俺の事、ほんと見透かしてんなぁ…)


《はは…弟に火を付けられました…》


《だろうと思いましたよ…なら、今度やりに行こうよ!!…傑には負けたくないしね~!》


 こんなやり取りも楽しくて、理解をしてくれていながら、俺の事を色々と知ってくれていて…


《よし!すぐにやりに行こう!一緒に楽しもうぜぇっ!》


 こうして俺は、jubeatにどっぷりとハマっていく事になるんだ。


 どっぷりとハマる、それだけなら良かったのかな…いや、これで本当に良かったんだ…。

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