二章
突然の訪問
神は言いました。
私は呪われた子なのだと。
そして呪いを掛けました。
私は呪われました。
呪われた私は、死ぬことが出来なくなりました。
私はそれでも死のうとしました。
でも死ぬことは出来ませんでした。
私は段々と世界が憎くなりました。
そして、そんな世界に産まれた私自身も憎むようになりました。
Oh. save me
[死ねなかった竜王女 第9章抜粋]
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ザマテス襲撃事件から数日後。
ギルはミルに珍しく詰められていた。
「……ギル様?私はギル様が私の休日に冒険へ行っていることは知っていましたけど、他の女と冒険をしてたことなんて知りませんでしたよ?」
「……別に冒険の仲間なだけだし、そんなに怒らなくてもいいだろ。」
「怒りますよ!!」
ギロギロと目を鋭くしながら、ミルは椅子に座っているギルの上で何度も飛び跳ねた。
どうすればいいんだ。別に飛び跳ねられても痛みはないけどミルが怖い。報告していなかったけど、ここまで怒られると思ってなかった。彼女とは一緒に冒険をたまにするだけで別に恋仲という訳でもない。彼女は他の男ともよく冒険をしているし、冒険仲間の内の一人であるだけだろう。
「……ギル様とは冒険以外に本当に何もしてないんですよね? エッチなことをした時点でアウトです。ギルティーです。エッチなことには抱き合うことも、キスをすることも、料理を食べさせあうことも、ギル様に抱っこされることも全部含まれますよ?」
「……ん? ああ。大丈夫だ。ははは。」
「……絶対今ギル様のこと見てぼけーっとしてましたよねこいつ。アウトです。ギルティーです。ギル様。あの女狐を退治する為の剣の用意を。」
「ミルはちょっと落ち着け。」
「うなぁー!?」
ミルの不規則に動く尻尾を掴むと、ミルがペタンと俺の体に倒れる。獣人それぞれらしいが、ミルの場合尻尾を握られると全身の力が抜けてしまうらしい。ミルは尻尾を握られるのが好きなようで、あの夜の日に定期的に握って欲しいと言われた。だから別に今握っても駄目という訳ではないのだ。
下から見上げる形で、ミルが頬を紅くしながらジト目で俺のことを睨む。その姿は何ともいえない愛らしさがあり、思わず下部の膨張が進む。
いかん。いかん。
性欲レベルを上げてしまったせいで、思いもよらない場面でつい大きくなってしまう。大きくなったそれにミルは気付いたようで、対象がアラルナから俺の息子に移った。おい。掴むな。猫パンチならぬ犬パンチをするな。本当に覚醒しちゃうから。……流石にここでおっぱじめる何てのはないよな?
アラルナが突然家に訪問してきたとはいえ、流石に事案だ。
アラルナに引かれる未来が見える。
アラルナは魔物に襲われたところを助けて以来、何かと都合があえば一緒に冒険するようになった女性だ。女性らしく出ているところは出ていて冒険によって引き締められた筋肉は彼女の金髪と良く似合っていて、冒険者の男達の間で結構彼女は人気がある。童顔で優しい雰囲気があるが、中身は頼り甲斐のある姉御肌で慕う女性も多い。
アラルナはいつもの凛々しい様子は無く、ミルの言った通り何処か抜けた様子で俺を見てぼーっとしていた。
「それでどうしたんだ? 急に家に訪ねてくるなんて。困ったことでもあったか?」
「べ、別に困って来た訳じゃないんだ。ただ、ザマテスがこの国を襲撃してからこの国を離れていく冒険者もいるからな。ギルがこの国を離れていないか確かめに来たんだ。」
「………とか言って、ギル様と逢引しに来た訳じゃないですよね?」
「アラルナと俺はそんな関係じゃない。確かにアラルナは魅力的な女性だが、ただ一緒にモンスターを倒しているだけだ。ミルを心配させるような関係じゃないよ。」
俺は訝しそうに見つめる可愛らしいミルの頬にそっとキスをした。ミルのジト目は可愛らしく何か感じるものがあるが、出来れば心配なんてさせてやりたくない。安心させることか出来るのなら、キスだって自分からする。
自分からしたことが無かったのでスイッチが入ってしまったのかもしれない。ミルはこちらを興奮した様子で見ると、着ているメイド服のホックに手を掛ける。ミルは人前でも十分やる気があるようだ。
流石にそれは不味いと思った俺は、またミルの頬にキスをして黙らせた。俺のキスにミルは歓喜したように体を震わせる。それがいけなかった。ミルの艶かしい様子は俺の何とか耐えていた理性を崩壊させた。
ミルへの愛で頭が一杯になった俺は、休む暇など与えさせるかと震えている
ミルの顔のいたるところに唇を押し付けた。
もっと押し付けたい。もっと自分に染めたい。
アラルナの耐えきれなくなったような声で目を覚ました時には、ミルの顔はキスマークで一杯になっていた。
「と、突然訪問して悪かったな。ギルは一緒に獣族の女の子と住んでいるって言っていたが、そういう関係だったんだな。こ、今度はいつ行くかちゃんと話しておくから、その時になったらまた私の相手をしてくれよ。」
そう言うとアラルナらしくない初な少女のような染まった頬で、家を出て行った。俺は止める気が起きず、ただ呆然とアラルナが開けた扉の先をずっと見ていた。
頭が真っ白だ。
ヤバい完全にやらかした。
俺は唯一の冒険者友達に何てものを見せているんだ。熱いキスプレイ何て見せられても、恥ずかしくなるのと気まずくなるだけだぞ。しかもミルから始めたというよりは、今の場合俺から始めたしな。俺のこと性欲魔人と認識して距離取られるぞ。……結構仲良かったのにな。
自分のやってしまったことに無力感を感じていると、勝ち誇ったような蕩けに蕩けた様子のミルが耳に囁いた。
「早く続きやりましょうよ。 あの人も居なくなったことですし。……私このまま何もされないで放置されたら悶え死んじゃいますよ? どうぞ思うがままに襲って下さい。全て応えてあげますから。ね? 」
ミルがギルの耳を愛おしそうに舐める。
ギルは再び理性を失うと、ギルとミルは数分足らずで愛を確かめるように熱い熱い交わりを始めた。終始ミルの表情はどごまでも幸せを享受した満足そうな表情で、心配した様子は何処吹く風だった。
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次はアラルナ視点となります。やっと恋愛っぽくなりそう。
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