記録No.4 機体と自分の補給

「教官、フル装備のチップが完成したんで、武具支給、お願いします」


俺は飯を食ったあと、教官の部屋に来ていた。

本日二回目である。


「ほ〜う?前言ってたあれか、分かった、本部に言っとこう…今のところ、戦争は拮抗状態だが、資源に余裕はあるはずだから、すぐ来ると思うぞ、あとお前の成績とかそういうやつ的にも優待してくれてるからな、本部は」

「…情報源の方は?」

「うちの馴染みだ、階級はあっちの方が上で、裏も知ってる奴だ、信用はできる」

「さすがですね…」


相変わらず頼りになる教官である。

俺は少しばかり安堵していた。

フル装備、これが完成したら、正直適当なオプション装備よりも強そうなので、期待と興奮しかしていないのである。

なおこれは内心なので、表にはそんなに出していないはずである。


「…ディーク、実は君に本部から伝令があってな、期間としては全然余裕があったから、また今度伝えようと思ってたんだが、今言うことにする」

「な、なんですか?」


いつもふらっと色々と伝えてくる教官が、珍しくとても言いずらそうな顔をしていたので、身構えてしまった。


「…君はまだ未成年だから、戦場に経つ必要はあまりないはずなんだが…本部も流石に、君みたいな実力者を野放しにするのは、やはりもったいないとか思うのだろう。そこで『派遣』という名目で、ここに来ている『スレイプニル隊』のエイヴリル・ローナ隊長、リーゼロッテ・フェン副隊長、両少佐と第87防衛拠点に向かい、敵新型兵器なるものを調査、撃墜してくれとのことだ…すまない、私が突っぱねれば良かったんだが、そう上手くも行かなかった…」


教官は非常に申し訳なさそうにしていた。

まぁ、本部の考えは最もである。

あとあの2人これでこの基地に来ていたのか、休暇でもスカウトでもなかったわけだ、しかもあの2人同じ隊なのか…


「いえ、お気になさらず。敵の新型ですか、情報はどれほど?」

「大型、ということしか分かってないらしい…というか乗り気なんだな!?てっきりシャロが出れないから断固拒否するかと思っていたのだが…」


教官はかなり驚いて、椅子から立ち上がった。

俺もちょっと驚いた。


「あ〜まぁ、それもちらっとよぎりましたけど、あくまで派遣でしょう?戻ってこないわけじゃありませんから」

「…そうだな、じゃあ頼む、6日後までに向こうに移れとの事だ、いつ出発にする?」


本部は案外遠慮のない命令を出していたらしい、なんてやつだ。

まぁ、これだけ操縦技量があると判断されると、おそらく戦闘狂か何かと思われているのだろう。


「両少佐の都合は?」

「ローナの方はいつでもいいらしいが、フェンの方はまだまだいる予定、と来た時に言ってたな、お前もフル装備組むまでは動けないだろ?」

「まぁ…それはそうですね、とりあえずフル装備が完成次第ってことにしときますね」

「おう、本部に…言っとかないといけねぇな…」


部屋にいるふたりは、はぁ、とため息を吐いた。

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