No.35 皆さんの元に到着です!そしてこの人が……


消えていくアギ―の両親ルテスとスーアを見送る魔王達。


二人が消えた後に振り向く魔王達。


「随分と静かだったじゃねぇか」


「やはり死とは美しい……。これこそがこの世のゆるぎない真実だ。死者の死とは中々見れるものではない。良いものをみせてもらったな」


そう言ってトータナスは拍手をする。


「本当に不快極まりないな、貴様は」


「テメェには醜い最後を与えてやるぜ!!ブラッディピーク!」

フラマーラはブラッディピークを矢へと変えて焔の矢を放った。


トータナスは手をかざす。


「ッ!」

「そうはいくかよ!」


矢は彼の手を貫通し、トータナスの肩を捉えた。


彼はすぐに自身を燃やす焔を振りはらう。


「吸収できんだと?この力は、まさか」

すると彼の足元の地面に植物が生え始めた。


「そうか、あの娘の力か。やはり目障りだ」

トータナスは足元に生えて来た植物を踏みにじった。


「アタシ達も以前とは違うって事だ」

フラマーラが得意に話す。


「そうか、あの娘の魔力が貴様らに流れているのか。だからなんだと言うのだ。少しばかり我の身体を温めた所で何にもならんぞ」


「ならば!」


グレイシモンドが剣を掲げる。


「ゆくぞ!フローズンブルーム!」

出現と同時に、彼の使い魔である亀のフローズンブルームは地面を凍結させる。


「凍らせるのはどうかな?」

両足を凍結させられるトータナス。


「私達も行くわよ!エターナルレイちゃん!」

アウレンデントは、呼び出した白虎のエターナルレイに乗り、トータナスに急接近した。


「この程度で!」

近づいて来たアウレンデントに向かって焔を放とうとするトータナス。


「そうはさせん!シャドウダイバー!」

テネバイサスがそう言うと、トータナスの周囲にある影が伸び、鎖となって彼を縛った。


動きを封じられたトータナス目掛け、エターナルレイとアウレンデントは耀の刃で斬りつけた。


「ッッ!!」

切り裂かれた部分から灰色の血が噴き出す。


すぐにその出血は止まる、しかし今度は傷跡が残っている。


「貴様らッ!!」

焔、氷、耀、そして闇、あらゆる魔力を放ち魔王達を攻撃しようとするトータナス。


しかし魔王達はそれをかいくぐる。


「フローズンブルームッ!!」


グレイシモンドの合図と共にトータナスの周囲に冷気が満ちる。


「こんなもの!」

焔で冷気をはらおうとしたその瞬間、全身の体内から、氷の杭が皮膚を突き破って飛び出て来た。


「これで少しは貴様のようなものでも美しくなったか?いややはり無駄のようだ」


「くぅ……!!この程度で!」

氷の杭に手を伸ばそうとするが腕が動かない。


「なんだ、今度は一体?」


彼の身体が内側へと押し込められていく。突然体内に強力な引力が発生したようだ。


「煙や影だけがこの力じゃない」

テネバイサスがそう言うとトータナスの体が徐々にねじれて、内側にのまれそうになる。


「クソッ!!」

その場から逃げ出すトータナス。


なんとか全身がその引力の渦に飲み込まれる事を回避した。


「おお、まんまと逃げだしたな。正に必死ってやつだ」

フラマーラがそう言って煽る。


「どこまでもふざけた連中だッ!!」


トータナスは大量の怨念を魔王達目掛け放った。


すると魔王達の前に植物が突然出現し、魔王達を迫りくる怨念から守った。


「この植物は!」

トータナスがそう言うと周囲に樹木が生え始める。

彼は大きく飛び退いた。




「皆さん!」

そういってアギ―が木に乗って、その場に現れた。


「全ての国を植物さんで囲いました!兵士さんにも追い払えるように槍と盾を渡しました、これでもう国内の人は大丈夫です!」


彼女がいうように、国々の兵士たちが槍と盾で怨念を追い払っていた。


「アギ―様から授かったこの槍と盾があれば、こんなの大した事ねぇ!みんな!あの方々が魔王との戦いに集中できるように、俺たちに出来る事をするぞ!」


トータナスはその話を聞いて驚きをみせた。


「なんだと!!」


「流石のお前もこれにはビックリみたいだな。お前が呼び出したあの門から解き放たれる死の力はアギ―の力が弱点らしいぜ」


フラマーラがニヤニヤしてそう言った。


「門も今ゴーレムさん達が閉じようとしています!」

「たち?」



「ゴーレム殿!準備は良いか!」

ゴーレムと共にいたのは巨大化したティターノだった。


「我が鎧にもアギ―殿力を宿して頂けた!これで怨念に触れる事が出来る!さあ、門を閉じるという大仕事、共に遂行させて頂く!」


ティターノはゴーレムが持つ反対側の扉を掴む。


「グゴゴゴゴゴッッ!!」


ゴーレムとティターノが扉を押し始める、開いた門は再び閉じられていく。


「よし!もう一押しだ!」

二人は全身の力を集中させて門を閉じる事に成功した。


「さあ!今だ!グラド!」

ティターノがそう言うと、閉じられた門に氷が走る。


グラドが現れて死の門に氷で封をした。

更にその上に彼は植物の種を投げた。


氷に触れた瞬間種は即座に発芽し、瞬く間に成長していく。

そして扉全体に根を生やして花が咲いた。


「よし、二人共よく頑張ってくれた、アギ―殿から貰ったこの花があればもう開かないだろう。あとはアギ―殿らが!」


「ああ、トータナスを討ち取るだけだ!」


「グゴゴゴ!ゴシュジン様!」




「門を閉じただと……やはり気に食わない」

門が閉じられた事を察知したトータナスがアギ―を睨みつける。


「こ、この人が……」

アギ―とトータナスの目があう。


トータナスの目は淀みの底のようだ、何も映っていない、彼が気に食わないというアギ―すら。


「貴様は消しておく必要があるようだな」


「消されません!みんなの為にも、ここは!」


アギ―はそう言い返した。

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