英雄様をお招きしたら、魔王様が増えちゃいました。

No.9 ティターノ様は難攻不落。私も頑張ればあんな感じに……

武力の国の統治者ティターノと交戦を始めるグレイシモンドとテネバイサス。

しかし相手の炎に押され、防戦一方となってしまう。

そこに空からフラマーラが現れた。

「てめぇッ！！」

彼女は勢いよくティターノ目掛け突撃。

「ぬうっ！！」

それを避けず、ティターノは剣で受ける。

「ほお、貴様が焔の魔王か」

「そうだ！まったくその焔は私のだ、返せッ！」

フラマーラはティターノの剣が纏っている炎を指さしてそう言った。

「ふん、ならば力づくで奪って見せいッ！！」

「言われなくてもっ！」

二人が激突する。

（こいつ、こんな馬鹿デカくて重てぇ剣を棒切れみたいに振り回しやがって）

フラマーラが攻撃を仕掛けるがティターノはそれを軽々と剣で防いでしまう。

ティターノからフラマーラが距離を取った瞬間、上空から雷が降り注ぐ。

「勝手に援護させてもらうわね」

遅れてやってきたアウレンデントだ。

「よっしゃ行くぜッ！」

アウレンデントの攻撃に合わせて突撃するフラマーラ。

ティターノの攻撃を幾つか食らいながらも彼の身体を掴んだ。

「食らえッ！！」

そのまま大爆発を引き起こすフラマーラ。

「グッ！！」

この爆発は効果があったのかティターノの鎧が一部破壊される。

しかしダメージを食らったのは鎧のみで、本人はまだそれほどのダメージを負ったようにみえない。

その爆炎に向かってアウレンデントの無数の雷が放たれる。

「小賢しい！」

爆発の煙の中から、空を飛ぶアウレンデントに顔を向けるティターノ。

彼は背負っていた弓を取り出し構えた。

そして弓矢の代りにその巨大な剣を放つ。

「あら、弓も使えるのね」

勢いよく放たれた大剣は、アウレンデントの正面まで来ると強い光を放った。

爆炎に飲み込まれるアウレンデント。

「ふん」

戻って来た大剣を手に取るティターノは爆炎と煙を睨んでいた。

「貴様ッ！！」

「ほお、あの魔王は貴様にとって重要な存在か？」

テネバイサスが両手に闇の煙を纏わせ殴りかかった。

「ならばしっかり守りきれッ！！」

ティターノは炎を大量に放ちテネバイサスを吹き飛ばす。

「グっ！！」

吹き飛ばされたテネバイサス、は空中で体勢を整えて着地する。

（いかん、我々とこの男では扱える魔力量に差があり過ぎる）

なんとか煙で相手の攻撃を凌げたテネバイサス、相手と自分達にある文字通り火力差を痛感。

「ふぅ、全くとんでもない威力ね」

空からアウレンデントが降りて来た。

「大丈夫か？」

「ええ、ダーリンこそ大丈夫？派手に吹き飛ばされたわね」

テネバイサスとアウレンデントは互いに無事を確かめる。

「アイツが扱う炎の量にはとてもじゃねぇが今のアタシ達じゃあ張り合えねぇ。まずは出口絞って攻撃してみるか」

「ああ、それが良さそうだな。試してみるか」

フラマーラとグレイシモンドは先行して攻撃を再開。

「ふん、どっからでも来い！！」

ティターノは剣を構える。

フラマーラは正面から、グレイシモンドは背後に回り込み指先から圧縮した炎と氷の弾丸を放つ。

「なるほど、そう来たか！」

弾丸を見切り、剣で叩き落としていくティターノ。

「私たちも行きましょうッ！」

「もちろんだ」

二人に続いて攻撃に加勢する。

アウレンデントは雷の弾丸を放ち、テネバイサスは煙でティターノの周囲を囲む。

ティターノに弾き落とされた弾丸を煙で回収し、別の場所に展開されている煙から回収した弾丸を放つ。

「ふん、鬱陶しいッ！！」

周囲の至る所から放たれる魔法の弾丸にも対応していくティターノ。

（弾丸に意識が向いている間に！）

アウレンデントは指先からレーザーを放つ。

レーザーに反応して剣で弾こうとするティターノ。

「そうは行かないわ」

剣を避けるようにレーザーは軌道を変え、ティターノを背後から貫く。

「隙ありだッ！！」

この隙をついて焔と氷の弾丸を打ち込むフラマーラとグレイシモンド。

先ほどよりも鋭くティターノの身体を貫いていく。

「この程度ッ！」

剣に炎を纏わせ周囲を薙ぎ払うティターノ。

「ようやく傷つけられたな」

「とはいえ決定打とは言えないわね。傷もう塞がってるし」

テネバイサスとアウレンデントが相手の塞がった傷口をみてそう話す。

「ああ、だが次の手は打ってある」

「さっすがダーリン」

テネバイサスは指先から煙を出し、ティターノが放った爆炎の中に煙を忍ばせるように配置していた。

「ん？これはあやつの煙か！」

その事に気付いたティターノ、しかし先手は魔王達がとった。

「油断したなッ！」

煙からフラマーラが現れティターノの肩を掴む。

「これで終わりだッ！」

ティターノの肩を掴むフラマーラの手が光る。

しかし

「ぐわッ！！」

次の瞬間、フラマーラは弾き飛ばされてしまう。

ティターノに殴り飛ばされた訳ではない。

何か見えない力によって吹き飛ばされたようだ。

「なんだと？魔力に干渉できねぇッ！」

「干渉できない？我々が統治者の力を操れんように細工でもされているのか」

吹き飛んだフラマーラを見てグレイシモンドが推測する。

「外からもダメ、内側もダメだなんて」

「難攻不落……」

様子をみていたアウレンデントとテネバイサス。

後もなんとか応戦する魔王達だがティターノに決定的と言えるダメージは与えられていないままだ。

「なんだ、この程度か！もうよい、一思いにケリを付けてやるッ！！」

ティターノは剣を掲げる。

「兵士たちよ！直ちにこの場を離れよ！」

「ティターノ様から命令だッ！すぐに退け！！」

周囲にいた兵士たちが退避していく。

「剛炎刃ッ！！！」

彼の号令に合わせ周囲が融解し始める程の烈火を放つ。

ティターノの大剣に纏った炎が更にその勢いを増す。

炎の刃は太陽の光すら押しかえす程の明かりと熱を放っていた。

「クソッ！！流石アタシの炎だッ！！強いな！」

「どんなタイミングで自惚れてるんだ戯けものがッ！」

「流石に逃げ切るのは無理そうね！」

「さっさと魔力全開で防御だ！」

4人の魔王達は攻撃に備える。

「覚悟は決まったようだな……行くぞッ！！」

ティターノはその剣を振り下ろす。

魔王達はこの攻撃を凌ぐことが出来るのか。