No.14 統治者様達は仲良くないみたいです。あ、それと祠に行ってきます!

経済力の国に訪れたアギ―達。

統治者である魔人グラドの元で暮らす人々はとても活気に満ちていた。


そんな賑やかな街で一つの騒ぎが、アギ―達が駆けつけてみるとそこでは暴動が起きていた。複数人が武器を振り回しこう叫ぶ


「俺たちは打倒魔王を掲げる者だ」


人質を取られる事態もあったがアギ―の活躍により、大きな被害を出すこともなく集団を無力化する事に成功した。



武装集団は眠り、そのまま縛られた状態で城へと運ばれていった。

アギ―達は怪我をした人達を治療し、城へと戻る事に。


「おかげで助かりました。拘束だけでなく眠らせたのは一体?」

グラドは感謝の言葉を告げたのちに質問をした。


「あの花はとってもいい香りで、人の気持ちを落ち着かせる事が出来るんです。でもあんなにすぐ眠っちゃうなんて。すっごい疲れていたのでしょうか?あのお体を観るからにご飯もあまり食べられてないような……」


運ばれた武装集団、その者達を率いたとされる男は酷くやせ細っていた。


「彼らに関してはこちらで今調べている。明らかに先ほどの者達は精神状態が正常とは思えなかったからね」


グラドがそう言うとグレイシモンドが話しかける。


「グラドよ、連中は”打倒魔王を掲げる集団”などと名乗っていたが、そんな集まりがあるのかね?」


「いや、初めて聞いた話だよ。この世界の魔王に立ち向かおうとする者なんて、君たちぐらいなものさ」


そう言って何かを考えるグラド。


「反逆の意思を示したのに殺さないでくれる甘ちゃんな統治者様がいるっていうのに、贅沢な連中だぜ。ワタシだったら生きたまま焚火にでもしてやるのに」


「フラマーラさんはまたそうやって、優しい事は良い事じゃないですか」

アギ―がフラマーラにそう言う。


「ははは、まあ手ぬるいのは承知の上さ」

グラドはそう笑って言った。



「お話し中、失礼致します。グラド様、あの者達についてご報告が」

1人の白衣を着た者が部屋に入って来た。


「良いぞ、教えてくれないか」


「はい、あの者達は興奮状態にあり正常な判断が出来ないようでした。それで採血し検査した結果、彼らの体内から化合物が見つかりました。恐らくこれが原因で感情、特に怒りを制御する事が出来なったのではと」


「こんな短時間でそこまで調べれらるとは」

グレイシモンドが報告内容に関心する。


「経済力を支えるには人々の健康も重要、医療には結構力を入れていてね。それで言えば先ほどのアギ―殿の手際は見事でした。後で色々と勉強させて頂きたい」


「あはは、そんな私なんて……」

嬉しそうにそう言うアギ―。


「それで、あの者達は他国から来たのか?」

グラドが話を戻して白衣の男に質問した。


「ええ、そのようです。あの集団の主犯格の男は資源力の国から来た者かと思われます。どうやらその者は味見にと食料を配っていて、それを口にした者が先の暴動に参加したようです」


「他の国からって私達のようにですか?」

アギ―が質問を挟む。


「本来この国来るには特定の交通手段を使用しないとなりません。それも基本は護衛の者と操縦者のみで、民が乗る事はまず無いですが。皆様のようにこれらの手段を使用しないのは相当無謀な手段ですね。特にこの国の場合は外があの環境ですから」


「まあ、私がいれば寒さなんて関係ないがな!」

「後アギ―ちゃんの案内もあったからね」

フラマーラが胸を張り、アウレンデントがアギ―を抱き寄せてそう言った。


「となれば、あの者は何者かの手引きがあってこの国にやって来たという事か?」

「恐らくは運ばれた物資の中に忍び込んでいたのだろう。何かを混ぜた食料をこの国の民に配り、反乱分子として暴動を起こす、嫌な事をするもんだ。」


そう言うグラドにテネバイサスが話しかける。


「随分と落ち着いているな。つまり他の国が攻めてきたって事じゃないのか?もしかしてこうなる事を予測出来ていたんじゃないか?」


「そうですね。我々は同じ勢力ではありますが、互いに警戒し合っているようのな状態で。中には他国をただの実験台程度にしか思っていない奴もいますからね」

グラドはそう答えた。


「確かにティターノさんもこの国がこんなに人々が活気に溢れてるとか、グラドさんはこんな人って言ってませんでしたね。魔人でこの世界の魔王に信頼されているとしか……」

アギ―がティターノが言っていた事を思い出す。


「ええ、彼は特に他の国への警戒心が強い男でしたから。彼の生い立ちによるものでしょうが……」


「そういえば魔人ってなんだ?私達とは違うのか?」

今度はフラマーラが質問した。


「そうですね。私はこの世界に元からいた存在で、他の種族より長生きで、魔力の扱いに長けていたぐらいですよ。まあ自分と同じ種族を見たことはありませんが」


ニコッと笑ってグラドはフラマーラの質問に答えた。



「それでこれからどうするんだ。その資源力の国の統治者に問い詰めるのか?」

テネバイサスが質問をした。


「確かに、我が国内で、我が国民に対しこのような事を行ったのを見過ごす訳にはいかない。とは言え、私はこの国を勝手に出るは許されない立場なので……」


うーん、とグラドは言ってアギ―達を見つめる。


「そうだ!皆さんこの国の次に赴くのは資源力の国ですよね?そのついでにそちらの調査をして頂けないでしょうか?」


「はぁ?なんでお前の為にワタシ達がそんな事……」


「もちろんです!」

「ああ、任せたまえよ」

グラドの頼みを断ろうとするフラマーラよりも早く、アギ―とグレイシモンドが引き受けた。


「おお!そう言ってくれますか!流石です!」


こうして資源力の国の調査を任されたアギ―達だった。



「となれば、こちらを渡しておかなくては」

グラドは自分の胸に手を当てるとコアが現れた。


「さあ、ようやく君に返すことが出来る」


コアが彼の手を離れグレイシモンドへと飛んで行く。


「有り難い、今日まで守ってくれた我が力、存分に振るわせてもらおう」

グレイシモンドはグラドに礼を言った。


「そうだグラドよ、この国の領土内に祠のようなものがあるか知らないか?」


「祠?ああ、それならこの窓から見える山、あの麓にある洞窟にそのような場所が」

窓の外を指さすグラド。その指がさし示すのは周囲の山と比べて一際高い山。


そこに祠があるという。


アギ―達はその祠へと向かった。


「うう、ここら辺はもっと寒そうですね。フラマーラさんがいなかったらカチンコチンですね」

フラマーラに引っ付きながら歩くアギ―。


山に近づくにつれ風は強くなり雪も横殴りで襲ってくる。


「そういえばどうして祠の事知ってんだ?ティターノは知らされてないって」

「私も直接知らされた訳では、不思議な魔力を探知したので興味本位で元を探ってみたら見つけたのです。ですがまさかその祠にそんな物があるとは」


グラドは先行して進んでいく。


しばらくすると山の麓に到着する。


「さあ、こちらです」


麓にある洞窟に一行が入ろうとすると、突然地響きが。


「な、なんですか?!」

こけそうになるアギ―。


ふと上を見上げると空には召喚陣が。


「あれは……?」


その召喚陣から目の前の山と遜色ない巨大な何かが現れる。


「一旦退くぞッ!!」

山から距離を取った一行。


「おい、なんだよあれ……」


山を踏みつぶし現れたのは巨大な象のような怪物だった。

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