神に委ねられた街

真昼

第0話

 夢を見ていた。


 灰色の空。斑の雨雲、その一部が退けて出来た日足の先。歪な朱い鳥居から石畳がずうっと伸びて、たどり着いたところ。古い神社があった。


 駆け回っているのは少女の私と、知らない子供達。大人達は側で談笑をしている。


 何度も見た夢。私じゃない私の記憶。


 ひとつの風が吹き、背の高い竹林が大きく揺れる。桜の木はその桃色の花びらを散らせ、なんとも美しい景色だった。


 少女の泣き声。知っているような、知らない少女。触ると儚く消えてしまいそうな白い少女。


 私に向かって言った。


 助けて、と。

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