第23話 怒らない兄と可愛い過ぎる姉
私はこの二人の異常な関係を楽しんでいた。
「美優、どうだ?味は。」ドMの兄は聞いているが、
「まあ、私が手伝ったんだ、美味しくできて当たり前だろ?これくらいは一人で作れるようになれよ?」上から目線を止めない。
「そうだな、ありがとう美優。」兄は素直にお礼を言うと、
「お前は私と一緒にいれて幸せ者だ、感謝しろ!」
と言いながら、兄の隣でベッタリ引っ付いている。
なるほど、これはいけるかもしれないな。恋歌がいじめられている男の子といじめていた女の子の体を入れ替えた時に、男の体に入れ替えられた女子が精神的におかしくなったのを優しく元男子の女の子が寄り添っていた。
お兄ちゃんもそうだけど、本当に男の子は優しいんだ。男性の成長を止めて弱くなった事で本来、持っていた優しさが増したんだ。だから、泣いているいじめっ子を見捨てずに女になった自分が守る事を決めたんだ。
このまま、恋歌を泳がしてみよう。きっと流れが変わるはずだ。
夕食が終わり、お兄ちゃんは相変わらず、
「美優、休んでいてくれ、片付けは俺が全部やっておくから。」と言ったが、
「貴様はトロいから特別に私が手伝ってやる。」
きっと、ずっと一緒にいたいんだろう。さっきからお姉さまは愚痴を言いながら、傍を離れない。
「ありがとう助かるよ、美優。」
お兄ちゃんは愚痴を気にせずに平然と受け止めている。兄の行く道に必ず付いて行く。そして、
「勝手に動くな!私にちゃんと許可を取れ!」行動に文句を言い出す。
「美優、俺は風呂に行きたいんだが…。」
文句を言われた兄はちゃんと許可を取るようになった。
「5分だ!5分以内に戻ってこい!それ以上は待てん!」
お姉さまがメチャクチャな要求をしてくる。(5分で風呂は無理だろ。)
「美優、すまないが、10分は欲しい…。」交渉し出した。
「良いだろう!その代わり、これからも私に尽くせよ!」
お姉さまが、妥協したぞ。買い物の時はぶちギレていたのに…。
その後、忠実なお兄ちゃんは、10分以内に風呂を終えて戻ってきたが、
「遅いぞ!許嫁の私の気持ちをもっと、考えろ!」守ったのに怒っている。
「美優はゆっくりと風呂に入れよ?」兄のこの発言に、
「当たり前だ!私は女だぞ!」
女子の体の手入れは時間が掛かると主張する身勝手さ、だ。
しかも、
「私が風呂に入る間は外で話し相手になれ!」(そこまでするの…。)
「分かった、喋りたい事があれば呼んでくれ、外で待っている…。」
スゴいな、我が兄の包容力は。
そして絶賛拘束中の兄は寝る前も、
「美優、もう寝ないと、先にゆっくり休んでくれ。俺は明日の朝の準備があるから。」と言うと、
「許嫁を放置する気か?なんて酷い奴だ!」
お姉さまから兄は訳が分からないお叱りを受けている。
「すまない美優、朝の準備を手伝ってもらえないか?」
申し訳無さそうにお願いすると、
「仕方ない、私から離れるな!寝るまで一緒にいろ!」
お姉さまは文句を言っているのに、
「ありがとう。すぐに終わらせるよ。」
二人で仲良く引っ付きながら明日の準備を始めていた。そのあともベッタリ引っ付いて、二人でお兄ちゃんの部屋に入っていった。
この世界の男性は優しすぎるのか。これはおもしろいな。明日以降が楽しみになってきた。
朝になって、お兄ちゃんは朝早くからご飯やお弁当の準備をしていた。そこに怒ったお姉さまがやって来て、
「私の許可を得ずに動き回るな!お前は朝、起きたのになぜ私を連れて行かない!お前がいなくなった時の私の気持ちを考えた事があるのか!」
(お姉さまは朝、起きたら兄がいなくて寂しかったみたいだ。)
お兄ちゃんをポコポコ叩いている。(可愛い、何あれ…。)
「美優、ごめん。起こせば良かったな、今度からそうするよ。」
謝っているのに、よほど寂しかったのか、お姉さまは叩くのを止めない。
「お前は!なんで私の事を一番に考えないんだ!」
お姉さまは許嫁なら、自分の考えを読み取れって言っているみたいだ。
「ごめん。美優。許してくれ、もうしないから…。」
お兄ちゃんはものすごく謝っている。
「約束しろ!まずは私を優先だぞ!」お姉さまは朝から束縛がスゴい。
「分かった、約束する。もうすぐ朝ご飯が出来る、美優、学校に行く準備をしてきたらどうだ?」と言っても、
「私を優先しろ!」兄に付いて来て欲しいのか、この姉は。
さすがに可哀想なので、
「続きは私がするから、お兄ちゃんはお姉さまの相手をお願いします。」
そう話して、兄をお姉さまの所に追いやると、
「私!優先!」そう言って連れて行ってしまった。
仕方ないから、あとの朝ご飯とお弁当の仕上げは私が全部、行った。
(二人の面白イチャイチャ見たかったな~。)
お弁当と料理を作り終えた頃に、二人が引っ付いて戻ってきた。
「すまないな、純。任せきりにしてしまった。」兄は謝りっぱなしだ。
「お姉さまはスゴくお兄ちゃんが好きなんですね。」わざと聞いてみた。
「つまらない冗談を言うな、お前の兄が私を好き過ぎるんだ。」
お姉さまは自分が好きな気持ちを絶対に認めない。
「そうなの?お兄ちゃん?」こっちにもわざと聞いてみた。
「ああ、大切な許嫁だ。」あら、こっちは素直に認めた。
「当然だ!何よりも大切なのは美優、私を優先だからな!」
(この美優お姉さま、メチャクチャ可愛い~。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます