第15話 聖歴152年6月28日~29日、経済も物理も最強に

「そうかまるで卵だな。殻を割って中身を美味しく頂くか。ちょっとやってみる」


 魔力通販でカッターナイフを買ってダンジョンコアを削ろうとした。

 だが、削りカスは出ない。

 なんて硬いんだ。

 俺へ挑戦だな。

 挑戦は受けて立つ。


「【魔力通販】。出でよ、硬いと言われるダイヤモンドを使った、ダイヤモンドパッド」


 これの用途は大理石とかそういう物を磨くための物だ。

 千円ちょっとで買える。


 よし擦るぞ。

 水を掛けてと。

 コシコシと。


 ダンジョンコアに磨きが掛かった。

 もう良いかな手を置くと、魔力が流れ込んで来る感触がある。


「ステータス」

――――――――――――――

名前:スグリ LV13

魔力:10+10519617/1300


スキル:

無限収納

魔力通販

――――――――――――――


 やったぜ。

 1千万からの魔力がある。

 よし、買いまくるぞ。

 まずは人工宝石を100万円ぐらい買って、あとは武器とか買いたいところだが。

 銃も買えないし、ボウガンも買えない。

 許可がいるからな。

 しょうがない、役に立ちそうな物を色々と仕入れるか。


 次々に現れる商品を見て、ジューンが目を丸くする。

 出しては無限収納に入れていった。

 そして。


「【魔力通販】。出でよ、小麦粉。あれ出ない」


 ポータルの浮いている球体が突然落ちる。

 そして真っ暗に。

 やばい。

 ライターを慌てて付ける。


「ステータス」


――――――――――――――

名前:スグリ LV119

魔力:10610+0/11900


スキル:

無限収納

魔力通販

――――――――――――――


 参った。

 魔力を吸いだし過ぎて討伐しちまった。

 俺はダンジョンコアから手を離した。


「どないするん?」

「どうもこうも。しらばっくれるしかない」

「真偽鑑定師を呼ばれるんとちゃう」

「呼ばれるだろうな。ちょっと待て少し考える」


 ええとダンジョンコアはこの場にある。

 今も台座に嵌っている。

 討伐はしてない。

 スキルを使ってたら突然ダンジョンコアが止まった。

 うん、これで嘘はないな。


 上がったレベルはどうしよう。

 レベル10台で討伐するといきなり100レベルを超えるのだな。

 ビックスライムは強敵だものな。

 消石灰とゴム手袋がなけりゃ討伐は叶わなかった。

 思考がそれたな。


 事故なんです。

 討伐するつもりはなかった。

 これでいこう。


 光が突然戻る。

 ポータルの球体も浮かび上がった。

 おお、復活したのか。

 心臓に悪いぜ。


 ダンジョンコアに手を置いて。


「ステータス」


――――――――――――――

名前:スグリ LV119

魔力:10610/11900


スキル:

無限収納

魔力通販

――――――――――――――


 おお、復活する時に殻も復活したんだな。

 これは都合が良い。

 証拠が一つなくなった。


 さて、スライムダンジョンからはおさらばしよう。


「街に戻ろう」

「はい」


 ボスがいないボス部屋を通って、きた道を逆に辿る。

 ポータルを使うと俺達がダンジョンコアの部屋にいたとばれるからな。


 おっかなびっくりにダンジョンから出る。


「ダンジョンで何か気づいた事があるか?」


 門番にそう聞かれる。


「知らないな」

「知らへん」


「そうか、まあダンジョンだからな。稀に不思議な事も起こる」

「もう行っていいか?」

「良いぞ」


 ふぅ、全く心臓に悪い。

 それにしても、今回は上手くやった。

 1千万円を超える商品をゲットできた。


 街へはあっけなく着いた。

 俺達を容疑者として捕まえにくる奴もいない。


 ジューンの下宿に直行せずに、鑑定師の所に行く。

 鑑定師はまるで日本の昔あったタバコ屋そっくりの店構えだった。

 小さいカウンターに人が一人。

 しかも、十字路の角にあって婆さんが座っている。


「これを鑑定してもらいたい」


 2.5センチ、1780円の人工宝石を10個出す。


「【鑑定】、一つ金貨5枚と銀貨64枚だね」


 さらさらと鑑定書を書いて、宝石を袋に入れ魔道具の封をする。


「現物で手数料を払いたい」


 俺は更に1個の人工宝石を出した。


「【鑑定】、釣りは出さないよ」

「お釣りはチップだ。いい商いだったからな」


 金貨56枚と銀貨40枚の儲けだ。


「儲かったな」

「ほんまや」

「問題は何度も宝石を売りに行くと、買い取りを渋られるかも知れんという事だ」

「せやな。他の街に売りに行く事も考えないとあかんね」

「他の街に行くのなら、いい考えがある。せっかく冒険者になったのだから、ダンジョンアタックを続けてみようぜ」

「ええな。そうしましょ」


 大きな街だと更に良いだろう。

 他のダンジョンも魔力を吸い出せたらいいな。

 階層が10ぐらいあるダンジョンだと1億ぐらい魔力を持ってそうだ。

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