【完結】ハズキ

花咲一樹

プロローグ

 中学校の授業が終わり、寒い冬風のなか、砂浜沿いの防波堤脇を俺は走っていた。暫く走れば小さな河口があり、そこでUターンして戻るのがいつものコースだ。


 右手に見える少し薄暗い太平洋の海は白波がたち、少しうねりを見せている。夕暮れ前のこの時間はサーファーもいなく、海鳥が数羽飛んでいるだけだった。


 しばらく走ったところで、海の浅瀬に立っている人がいる事に気がついた。サーファーではないし、釣りをしている人にも見えない。


 ……女の子?


 その子はブレザーにスカートといった学校帰りのいでたちで、海の中に立っていた……いや、沖へ向かって歩いていた!


 俺は慌てて砂浜に飛び降り、女の子を追いかけ海の中に入っていった。


 冬の海は冷たいはずだが、そんな事には気を取られず、一心不乱に女の子を追いかけた。


 長い髪の毛が強い海風に舞っている。沖へと歩く女の子……。波に足を取られたのか、ふらっと海の中へ消えた!


 俺は無我夢中で女の子を追いかける。


 女の子は立ち上がり、また沖へと歩いて行く……。


 更に大きな強い波がたち、女の子を飲み込むと、女の子は波の中へと消えていった……。


 そして俺は…………。



 そんな2年前の話を、俺は親友の金山に話をした。



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