第30話 08時21分

 なんか今日も朝からいろいろあったが。無事に学校へと到着した俺と久梨亜。この後は……なんだっけ?あー、そうそうクラス分けだ。今日は新学期だからな。クラス分けの確認をする必要がある。 

 俺の願いは――頼むから久梨亜とは別のクラスで――である。


 ちなみに今までの俺と久梨亜は、小学校では1年生と3年生、5年生、6年生と同じクラスだった。2年と4年以外同じという。そして中学校では、1年から3年生まで同じクラス。この時は――ホント疲れたな。長期休み以外はホント24時間久梨亜と居るような感じだったからな。そして高校1年生。久しぶりに久梨亜と離れた。でもよくよく久梨亜が俺のところに遊びに来るから……だったが。休み時間とかもちょっとした時間でも顔出していたからな。あまり別のクラス。会わなかったということはなかったな。ちなみにだが高校は5クラスある。だから一緒になるというのは――そうはないだろうと俺は思っていた。この時までは――。

 どう考えてもこの後なんかあっただろうという感じだが――まあ待ってくれ。ついでにもう少し語っておくと、中学校も4クラスあったんだがね。なの3年間同じだったのは――実は先生たちの中では、本当の久梨亜に気が付いている先生が居て、俺に世話役を押し付けていた説もある……まあないだろうがね。などと思いながら運命のクラス分けを見に行くと――先に久梨亜が反応した。


「あっ、ゴウちゃんと同じクラスだ!やった!ゴウちゃんと同じだ」


 俺の横で、クラス分けの紙を見て飛び跳ねるくらいだった。


「マジか――」


 この瞬間。俺の日常が――朝だけでも疲れたのに……今年1年はダメらしい。また中学の時と似たような生活になることが決定した。

 そうそう、もう1つ言っておこう。新学期、学年が変わった時のクラスの席はあいうえ順がほとんどである。 

 久梨亜の名字は沓掛くつかけだ。そして俺の名字は五知ごちそのため――かきくけこ。は近い。まあ間に誰か居てくれる場合もあるのだが――。


「あっ、ゴウちゃん。席も前と後ろみたいだよ。やったー」

「……終わった」


 今年はしばらく俺の前が久梨亜らしい。俺と久梨亜に挟まれるお方は居なかった。これは……しばらく俺。大変である。超大変かもしれない。学校に居る間も常に久梨亜が視線の中に入るという――。


「ゴウちゃん?どうしたの?行かないの?嬉しすぎて固まった?」

「……そんなことはない」

「またまた。あっほら邪魔になるから行くよ。もう。世話がかかるなー。ゴウちゃんは」


 俺がクラス分け発表のところでちょっといろいろ諦めていると久梨亜が俺の腕を引っ張ってきた。人前で久梨亜が俺に触れるのはよくあること。ちなみに自宅ではない限り俺はほとんど久梨亜に触れることはない。いろいろ周りの目があるんでね。でも久梨亜は――関係ないらしい。


「ほらほらゴウちゃん。ちゃんと歩かないと、こんな姿で教室入ったら、いきなりクラス公認カップルになっちゃうよ?付き合ってないのにー知らないよ?」


 楽しそうに小声でそんなことを言ってくる久梨亜。まあこのまま行くとってか。既にだろうな。だから俺はとっとと自分の足で歩いていたのだが――久梨亜が俺の腕を何故か持っている現状である。何故離さない。


「久梨亜。もう俺普通に歩いてるからな?」

「またまたふらふらだよ?嬉しすぎて腰が抜けたんでよ?」

「再度言う。普通に歩いているからな?」


 俺が久梨亜に文句を言うと――久梨亜は角を曲がるタイミング。他の生徒の視線からの視線がちょっと離れるところで――。


「とりあえず初日からゴウちゃんと仲良しを見せつけて、私に変な虫が付かないようにしてもらわないとだからね。もうしばらくこのままだよ」

「やめてくれ。マジで。俺が死ぬ。毎回言ってるだろうが」

「えー、嬉しいくせに。おりゃおりゃ」


 久梨亜はそう言いながら俺の脇腹を突っついてくる。

 

「意味の分からないことを次々言わないでくれ」


 俺マジで疲れた倒れそう。始業式に出る元気ないよ。俺がそんなことを思っていると久梨亜はもう良いのか俺と適度な距離へと戻り。


「担任の先生誰かなー」


 唐突にそんな話を始めたのだった。完璧というか。クラスが近くなるとあまりくっついているのは見せないらしい。既に見せたから一緒な気がするんだが――まあいい。とりあえず久梨亜。みんなの前では演技が素晴らしいというか――なんというかだな。ちなみに常にこんな奴。優等生久梨亜なら……俺、即告白してるかも。って何を意味の分からないことを言わせるんだよ!あるわけないない……えっ?誰も何も言ってない?ヤバいな――俺もう完全に疲れてるわ。うん、このまま教室で寝てようかな?いや、即保健室行こうかな?その辺で俺倒れるかも。疲労だな。

 俺がそんなことを思いつつ。なんか隣でいろいろ言っている久梨亜の話に適当にいつものように俺は返事をしていると―—俺達は今年の教室へと到着したのだった。

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